訪問看護の現場で「このケース、2人で行かないと危ないな」と感じる場面は少なくないでしょう。
しかし、その際に加算が算定できるのか、その条件は何なのか、正確に把握するのは簡単ではありません。
特に「同行加算」という言葉で情報を探している方も多いのではないでしょうか。
実は、訪問看護の制度に「同行加算」という正式名称の加算は存在しません。
一般的に「同行加算」と呼ばれているのは、実質的に「複数名訪問看護加算」やそれに類する制度を指します。
この記事では、2026年度の最新情報に基づき、介護保険・医療保険・精神科訪問看護それぞれにおける複数名訪問時の加算について、算定要件から注意点まで網羅的に解説します。
この記事を最後まで読めば、算定ミスによる返戻を防ぎ、自信を持って請求業務を行えるようになります。
少しだけ、記事の途中でお知らせです。
日々、利用者さんのために、そしてステーションの運営をより良くしようとこの記事をお読みいただき、本当にお疲れ様です。
より良いケアを届けたり、スムーズに業務を回していくためには、一緒に現場を支えてくれる「スタッフさん」の存在がどうしても欠かせないですよね。
でも、日々頑張っていらっしゃる管理者さんからは、こんな切実なお悩みをよく耳にします。
「人手不足で採用したけれど、すぐに退職してしまって、また採用活動のやり直し…」
「いつまでも採用が終わらず、自転車操業みたいで疲れてしまった…」
もし今、この記事を読みながら「うちもまさにそうかも…」と肩を落としていらっしゃるとしたら。日々の業務に加えての採用活動、本当にお辛いと思います。
スタッフさんに長く働き続けてもらうためには、実はお給料などの条件面だけではなく、ステーションの「職場の雰囲気」や「看護に対する考え方」が合うかどうかがとても大切になってきます。
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いわゆる「同行加算」とは?訪問看護の複数名訪問を評価する3つの加算
読者の皆さまが「同行加算」として探している加算は、主に以下の3つの制度を指していることがほとんどです。
これらは、利用者の状況に応じて複数の職員が「同行」して訪問することを評価する、という共通の目的を持っています。
- 介護保険: 複数名訪問加算
- 医療保険: 複数名訪問看護加算
- 精神科訪問看護: 複数名精神科訪問看護加算
複数名での訪問が必要となる背景には、次のような目的があります。
一つは、身体的な介助量が多い利用者や、転倒リスクが高い利用者の安全を確保することです。
また、質の高いケアを提供することや、一人での対応が困難なケースにおける看護師等の心身の負担を軽減することも重要な目的です。
【介護保険】複数名訪問加算(Ⅰ)・(Ⅱ)の算定要件と単位数
介護保険制度における複数名訪問加算は、訪問する職員の組み合わせによって「複数名訪問加算(Ⅰ)」と「複数名訪問加算(Ⅱ)」の2種類に分かれています。
どちらも、看護師等1名でのサービス提供が困難な場合に、2名で訪問することを評価する加算です。
それぞれの具体的な算定要件と単位数を見ていきましょう。
対象者と算定要件
この加算を算定できるのは、以下のいずれかに該当し、かつ利用者またはその家族から同意を得ている場合です。
- 身体的な理由により、1人の看護師等による訪問看護が困難と認められる方
- 暴力行為、著しい迷惑行為、器物破損行為などが認められる方
- その他、利用者の状況から上記に準ずると判断される方
重要なのは、これらの状況に該当するという客観的な事実と、サービス提供前に同意を得ているという記録です。
算定の根拠を明確にするため、訪問看護計画書や訪問看護記録書にその必要性を記載しておく必要があります。
加算の種類と単位数の一覧表
加算の単位数は、訪問者の組み合わせと、2人目の職員が必要な時間の長さによって決まります。
| 加算の種類 | 訪問者の組み合わせ | 30分未満 | 30分以上 |
|---|---|---|---|
| 複数名訪問加算(Ⅰ) | 看護師等 + 看護師等 | 254単位/回 | 402単位/回 |
| 複数名訪問加算(Ⅱ) | 看護師等 + 看護補助者 | 201単位/回 | 317単位/回 |
ここでいう「看護師等」とは、保健師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士を指します。
また、「看護補助者」に特定の資格は問われませんが、事業所に雇用されている職員であることが求められます。
【医療保険】複数名訪問看護加sanの算定要件と算定料
医療保険における複数名訪問看護加算は、介護保険よりも複雑な体系になっています。
この加算は、同行する職員の職種や利用者の状態によって「イ」「ロ」「ハ」「ニ」の4つに区分されます。
さらに、同じ建物に住む何人の利用者にサービスを提供するかによっても算定料が変動するため、注意が必要です。
対象者と算定要件
医療保険でこの加算の対象となるのは、以下のいずれかに該当し、利用者または家族の同意を得ている場合です。
- 厚生労働大臣が定める疾病等(別表第七)に該当する方
- 特別管理加算の対象者(別表第八)に該当する方
- 特別訪問看護指示書に基づき訪問看護を受けている方
- 暴力行為、著しい迷惑行為、器物破損行為などが認められる方
- 利用者の身体的理由により、1人の看護師による訪問看護が困難と認められる方
これらの条件に該当するかどうかを正確に確認することが、適切な請求の第一歩となります。
【図解】複雑な「イ・ロ・ハ・ニ」の区分と算定料をわかりやすく解説
「イ・ロ・ハ・ニ」の区分は、誰と同行するかによって決まります。
それぞれの区分と算定料、算定日数の上限を以下の表にまとめました。
| 区分 | 同行する職員 | 主な対象者 | 算定日数 | 算定料(同一建物内1〜2人) | 算定料(同一建物内3人以上) |
|---|---|---|---|---|---|
| イ | 看護師等 | 全ての対象者 | 週1日まで | 4,500円/日 | 4,000円/日 |
| ロ | 准看護師 | 全ての対象者 | 週1日まで | 3,800円/日 | 3,400円/日 |
| ハ | 看護補助者等 | 身体的理由など | 週3日まで | 3,000円/日 | 2,700円/日 |
| ニ | 看護補助者等 | 別表第七、第八、特別指示の利用者 | 制限なし | 3,000円/日 | 2,700円/日 |
※区分「ニ」は1日に複数回算定でき、その場合は算定料が異なります。
この表の「看護師等」は、保健師、助産師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士を指します。
訪問するメンバーのうち、少なくとも1名は看護職員(保健師、助産師、看護師、准看護師)である必要があります。
算定回数(週何回まで?)の制限について
医療保険の複数名訪問看護加算には、区分ごとに週あたりの算定回数に上限が設けられています。
- 区分イ、ロ: 週に1日まで
- 区分ハ: 週に3日まで
- 区分ニ: 制限なし(ただし、別表第七、第八、特別指示の利用者に限る)
請求時には、この回数制限を超えていないかを必ず確認しましょう。
特に複数の事業所が関わる場合、他の事業所の算定回数も把握しておくことが重要です。
【精神科訪問看護】複数名精神科訪問看護加算の算定要件と算定料
精神科訪問看護においても、複数名での訪問を評価する独自の加算があります。
これは通常の医療保険の加算とは異なる制度であり、算定するには特別な要件を満たす必要があります。
最大のポイントは、主治医からの精神科訪問看護指示書に複数名での訪問の必要性が記載されていることです。
対象者と算定要件(指示書の必要性)
この加算を算定するための絶対条件は、「精神科訪問看護指示書」に複数名での訪問が必要である旨が明記されていることです。
この記載がない限り、たとえ複数名で訪問しても加算を算定することはできません。
その他の主な要件は以下の通りです。
- 訪問する職員のうち、1名以上は保健師または看護師であること
- 30分未満の訪問では算定できないこと
- 利用者または家族の同意を得ていること
職種・訪問回数別の算定料と日数制限
精神科の加算は、同行する職員の職種と1日の訪問回数によって算定料が細かく設定されています。
原則として週3日までの算定ですが、精神科特別訪問看護指示が出ている場合はこの制限が緩和されます。
| 同行する職員 | 1日の訪問回数 | 算定日数 | 算定料(同一建物内1〜2人) | 算定料(同一建物内3人以上) |
|---|---|---|---|---|
| 保健師、看護師、作業療法士 | 1日に1回 | 原則週3日まで | 4,500円 | 4,000円 |
| 准看護師 | 1日に1回 | 原則週3日まで | 3,800円 | 3,400円 |
| 看護補助者、精神保健福祉士 | – | 週1日まで | 3,000円 | 2,700円 |
※保健師、看護師、作業療法士、准看護師が同行する場合は、1日に2回以上訪問した場合の算定料も定められています。
【比較表】介護・医療・精神科でどう違う?複数名訪問加算の要点を整理
ここまで解説してきた3つの保険制度における複数名訪問加算の主な違いを、一覧表にまとめました。
この表を使えば、各制度の要点を横断的に確認でき、知識の混同を防ぐことができます。
| 項目 | 介護保険 | 医療保険 | 精神科訪問看護 |
|---|---|---|---|
| 加算の名称 | 複数名訪問加算 | 複数名訪問看護加算 | 複数名精神科訪問看護加算 |
| 主な対象者 | 要介護・要支援認定者 | 別表第七・第八該当者、特別指示対象者など | 精神疾患を持ち、指示書に記載のある方 |
| 指示書の要件 | 特になし | 特別訪問看護指示書で対象となる場合がある | 指示書に複数名訪問の必要性の記載が必須 |
| 算定回数制限 | なし(支給限度額の範囲内) | 週1日、週3日、制限なし(区分による) | 原則週3日まで |
| 30分未満の算定 | 可能 | 不可 | 不可 |
このように、目的は似ていても、具体的なルールは制度ごとに大きく異なります。
利用者がどの保険を使っているのかを正確に把握し、対応する制度の要件を確認することが不可欠です。
算定ミスを防ぐ!請求前に確認すべき共通の留意点
最後に、保険制度を問わず、複数名訪問加算を算定する上で共通して注意すべき点を3つ紹介します。
これらは算定ミスの原因になりやすいポイントですので、請求前に必ず確認してください。
①利用者・家族への同意は必須
すべての複数名訪問加算において、利用者やその家族への事前説明と同意が絶対条件です。
なぜ複数名での訪問が必要なのかを丁寧に説明し、同意を得なければなりません。
口頭での同意だけでなく、同意書に署名をいただくか、同意を得た旨を訪問看護記録書などに明確に記載し、証拠として残すことが重要です。
②事業所都合の同行訪問は算定不可
新人職員の研修(OJT)や、管理者による実地指導前の同行確認など、事業所側の都合による複数名訪問では、この加算を算定することはできません。
あくまで「利用者の状態等により、1人でのサービス提供が困難な場合」に限定されることを忘れないでください。
算定の可否に迷った場合は、ケアプランを作成するケアマネジャーや、主治医に相談することも有効です。
③「看護師等」「看護職員」「その他職員」の定義を正しく理解する
加算の算定要件には、「看護師等」「看護職員」「その他職員」といった用語が出てきます。
これらの言葉が指す職種の範囲は、制度によって微妙に異なります。
- 看護師等: 主に保健師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士を指します。
- 看護職員: 主に保健師、助産師、看護師、准看護師を指します。
- その他職員: 看護補助者や、場合によっては理学療法士、精神保健福祉士なども含まれます。
どの職員がどの区分に該当するのかを正確に理解することが、特に医療保険の「イ・ロ・ハ・ニ」や介護保険の「(Ⅰ)・(Ⅱ)」を正しく判定する鍵となります。
まとめ:複数名訪問看護加算を正しく算定し、質の高いケアと健全な事業所運営を実現しよう
今回は、いわゆる「同行加算」と呼ばれる複数名訪問時の加算について、介護保険、医療保険、精神科訪問看護の3つの制度に分けて詳しく解説しました。
この加算は、利用者の安全を確保し、より質の高いケアを提供するために不可欠な制度です。
しかし、その算定要件は複雑で、制度ごとにルールが大きく異なります。
この記事で紹介した比較表や留意点を参考に、利用者の状況と保険の種類を正確に把握し、適切な請求業務を心がけてください。
加算を正しく理解し活用することは、返戻を防いでステーションの健全な運営を守るだけでなく、現場スタッフが安心して働ける環境づくりにも繋がります。
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訪問看護における「同行加算」とは何ですか?
実際には「同行加算」という正式な制度は存在しませんが、一般にこの用語が指すのは、介護保険の複数名訪問加算や医療保険の複数名訪問看護加算など、複数の職員が同行して訪問を行うことを評価する制度です。
複数名訪問看護加算にはどのような種類がありますか?
主に、介護保険の複数名訪問加算、医療保険の複数名訪問看護加算、精神科訪問看護の複数名精神科訪問看護加算の3つがあり、それぞれ対象や算定条件が異なります。
介護保険の複数名訪問加算の算定要件は何ですか?
利用者や家族から事前に同意を得ており、身体的理由や暴力などの特定の理由により1人の看護師による訪問が困難と認められる場合に算定できます。具体的には、訪問時に複数名での同行が必要な状況と、その事実を記録に残す必要があります。
医療保険の複数名訪問看護加算の対象者と算定条件は何ですか?
厚生労働大臣が定める疾病や特別管理加算の対象者、または特別訪問看護指示書に基づき、身体的理由などにより1人の看護師の訪問が困難な方が対象です。加算には区分があり、同行職種や訪問頻度に応じて算定料や回数制限があります。
複数名訪問看護加算を算定する際に気をつけるべき共通のポイントは何ですか?
利用者・家族の事前同意を必ず得ること、事業所都合の同行は認められないこと、そして「看護師等」や「看護職員」など職種の正確な理解と把握が必要です。これらを守ることで、ミスや返戻を防ぎ、適正な請求を行うことができます。