2024年12月から、訪問看護ステーションにおけるオンライン資格確認が原則義務化されます。
日々の業務に追われる中で、「何から準備すればいいの?」「スマホで本当にできるの?」といった不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、スマートフォンを活用したオンライン資格確認の具体的な手順から、必要な機材、補助金、そして現場で役立つトラブル対策までを網羅的に解説します。
この記事を最後まで読めば、新制度への移行をスムーズに進めるための知識がすべて身につき、安心して準備を始めることができます。
そもそも訪問看護のオンライン資格確認とは?基本とメリットをおさらい
オンライン資格確認とは、マイナンバーカード(マイナ保険証)を使って、利用者の健康保険資格情報をオンラインでリアルタイムに確認する仕組みのことです。
これまで紙の保険証で行っていた確認作業をデジタル化することで、より正確で効率的な業務が実現します。
訪問看護の現場に特有の課題を解決し、ケアの質向上にも繋がる重要な制度変更です。
2024年12月2日から原則義務化!背景とスケジュール
この制度は、2024年12月2日からオンライン請求と合わせて原則として義務化されます。
背景には、政府が推進する医療DX(デジタルトランスフォーメーション)と、健康保険証の原則廃止があります。
医療情報を円滑に連携させ、国民一人ひとりが質の高い医療を受けられる社会を目指すための重要な一歩と位置づけられています。
| 項目 | 従来(紙の保険証) | 2024年12月2日以降(マイナ保険証) |
|---|---|---|
| 本人確認方法 | 保険証の券面を目視で確認 | マイナンバーカードをスマホ等で読み取り |
| 資格情報 | 有効期限や保険者番号を手入力 | オンラインでリアルタイムに最新情報を取得 |
| 情報確認の正確性 | 期限切れや資格喪失を見落とすリスクあり | 資格過誤のリスクを大幅に低減 |
| 事務作業 | 保険証のコピー、手入力、返戻対応など | 事務作業の自動化・効率化が進む |
スマホ導入で業務はこう変わる!3つの大きなメリット
オンライン資格確認をスマートフォンで導入することは、単なる義務化への対応以上の価値をもたらします。
現場スタッフの負担を減らし、ステーションの経営基生を強化する3つの大きなメリットがあります。
これにより、スタッフは本来の看護業務により集中できる環境が整います。
| メリット | 具体的な効果 |
|---|---|
| 1. 返戻レセプトの削減 | 最新の保険資格情報をその場で確認できるため、資格喪失後の請求といったミスが激減します。返戻対応にかかる時間と労力を削減し、経営の安定化に直結します。 |
| 2. 事務作業の大幅な軽減 | 紙の保険証のコピー保管や、レセコンへの手入力作業が不要になります。訪問先で得た情報がデータとして管理されるため、事務所に戻ってからの作業が大幅に減ります。 |
| 3. ケアの質の向上 | 利用者の同意があれば、過去の薬剤情報や特定健診情報を閲覧できます。これにより、利用者の健康状態をより深く理解し、一人ひとりに合った質の高いケア計画の立案に役立てることが可能です。 |
スマホでの資格確認|準備するもの完全ガイド
スマートフォンでオンライン資格確認を始めるためには、いくつかの機材やツールを準備する必要があります。
物理的な端末から、必要なアプリや手続きまで、具体的に何を揃えればよいのかを一つひとつ確認していきましょう。
事前に全体像を把握しておくことで、計画的に導入を進めることができます。
【端末編】iPhone・Androidどちらを選ぶ?NFC機能と機種選びのポイント
オンライン資格確認には、マイナンバーカードを読み取るための「NFC機能」が搭載されたスマートフォンが必要です。
現在市販されている多くのスマートフォンにはこの機能が備わっていますが、導入前に必ず確認しましょう。
iPhoneとAndroid、どちらを選んでも基本的な操作は可能ですが、ステーションの運用方針に合わせて選ぶことが大切です。
| 比較項目 | iPhone | Android |
|---|---|---|
| 操作性 | OSが統一されており、シンプルで直感的な操作が可能。 | 機種が多く、価格帯や機能が多様。カスタマイズ性が高い。 |
| NFC性能 | 比較的安定しており、読み取り感度が高いモデルが多い。 | 機種により性能に差があるため、購入前の確認がより重要。 |
| 価格帯 | 比較的高価なモデルが中心。 | 低価格帯から高価格帯まで選択肢が豊富。 |
| セキュリティ | OSのアップデートが全機種一斉で、セキュリティは高い水準。 | 機種ごとにアップデート時期が異なり、設定に注意が必要。 |
【注意点】職員個人のスマホ利用について
- セキュリティリスク: 紛失・盗難時の情報漏洩リスクが高いです。
- プライバシーの問題: 公私混同により、職員の負担が増加する可能性があります。
- 管理の煩雑さ: OSやアプリのバージョンがバラバラで、統一した管理が困難です。
これらの理由から、ステーションとして管理できる法人契約のスマートフォンを導入することを強く推奨します。
【ツール編】「マイナ資格確認アプリ」と「マイナ在宅受付Web」の違いと使い方
スマホでの資格確認には、主に2つのツールが利用されます。
「マイナ資格確認アプリ」と「マイナ在宅受付Web」は、似ているようで役割が異なります。
それぞれの特徴を理解し、事業所の運用に適した方法を選びましょう。
| ツール名 | マイナ資格確認アプリ | マイナ在宅受付Web |
|---|---|---|
| 概要 | スマホにインストールして使用する専用アプリ。 | スマホのブラウザからアクセスする専用Webサイト。 |
| 主な機能 | ・マイナンバーカードの読み取り ・顔写真データによる目視での本人確認 | ・マイナンバーカードの読み取り ・オンライン資格確認システムへの情報照会 |
| 利用シーン | 訪問看護師のスマホで、利用者のマイナンバーカードを直接読み取る場合に適している。 | 利用者自身のスマホやPCで事前に資格情報を提示してもらう場合にも活用できる。 |
| メリット | ・オフラインでも顔写真の確認が可能(一部機能) ・アプリならではの安定した操作性 | ・アプリのインストールが不要 ・どの端末のブラウザからでもアクセス可能 |
| デメリット | ・事前のアプリインストールと設定が必要 | ・常にインターネット接続が必要 ・ブラウザのバージョン等に影響される可能性あり |
【実践】訪問先でのスマホ操作を4ステップで完全図解
必要な機材やツールが揃ったら、いよいよ訪問先での実践です。
実際の操作は、慣れてしまえば決して難しいものではありません。
ここでは、利用者のご自宅で行う一連の流れを4つのステップに分け、誰でもスムーズに実践できるよう分かりやすく解説します。
この手順に沿って行えば、安心して資格確認を完了できます。
ステップ1&2:利用者への説明・同意取得から本人確認まで
まず最も重要なのが、利用者ご本人への丁寧な説明と同意を得ることです。
なぜ資格確認が必要なのか、どのような操作をするのかを分かりやすく伝え、安心していただくことが信頼関係に繋がります。
同意を得た後、マイナンバーカードを預かり、本人確認に進みます。
説明と同意取得のポイント
- 目的を伝える: 「新しい制度で、保険の資格を正確に確認するために必要です」と簡潔に伝えます。
- 安全性を強調する: 「カードの情報は安全に管理され、看護師が勝手に使うことはありません」と安心感を促します。
- 操作を見せる: スマホの画面を見せながら、「このようにカードをかざして読み取ります」と実演します。
本人確認の方法は、以下の2通りから利用者の状況に合わせて選びます。
| 本人確認の方法 | 手順 | こんな時に便利 |
|---|---|---|
| 暗証番号による認証 | 利用者本人に4桁の暗証番号を入力してもらいます。 | 利用者が暗証番号を覚えており、入力操作が可能な場合。 |
| 目視による認証 | マイナ資格確認アプリを使い、カードの顔写真データとご本人の顔が一致するかを看護師が目で見て確認します。 | 暗証番号を忘れたり、入力が困難な高齢者などの場合に有効です。 |
ステップ3&4:資格情報の確認と日々の運用ルール
本人確認が完了すると、スマホの画面に利用者の保険資格情報が表示されます。
必要な情報を正確に確認し、必要に応じて記録します。
一度確認すれば、毎回カードを読み取る必要はありませんが、適切な運用ルールを定めておくことが重要です。
画面で確認すべき主な情報
- 保険者番号、被保険者証の記号・番号
- 氏名、生年月日、性別
- 自己負担割合
- 特定疾病療養受療証や公費負担医療の情報
日々の運用ルール
初回訪問時にマイナンバーカードで資格確認を行った後の運用は、以下のように定められています。
| 運用フェーズ | 対応方法 | 備考 |
|---|---|---|
| 初回訪問時 | マイナンバーカードによるオンライン資格確認を実施する。 | 原則としてこの一度のみでOK。 |
| 2回目以降の訪問 | 原則としてカードの再読み取りは不要。 | 月に一度、口頭で「保険証に変更はありませんか?」と確認し、その旨を記録することが推奨されています。 |
| 保険情報に変更があった場合 | 再度マイナンバーカードによるオンライン資格確認を行う。 | 利用者から変更の申し出があった際に実施します。 |
導入後の不安を解消!費用・セキュリティ・トラブル対策Q&A
制度を導入するにあたり、費用やセキュリティ、現場での予期せぬトラブルなど、様々な不安がつきものです。
ここでは、訪問看護ステーションの管理者が抱えがちな疑問にQ&A形式で回答します。
事前に具体的な対策を知っておくことで、安心して導入・運用に臨むことができます。
Q1. 導入費用はいくら?今からでも使える補助金はある?
導入費用は、端末の種類や契約プランによって異なりますが、スマートフォン本体の購入費や通信費が主なものです。
残念ながら、国が主体となっていた大規模な導入補助金は、ほとんどが2025年5月末で申請を終了しています。
しかし、まだ活用できる可能性のある支援策もあります。
| 費用の種類 | 目安 | 備考 |
|---|---|---|
| スマートフォン端末代 | 1台あたり 5万円 〜 15万円 | 機種や購入方法(一括/分割)によります。 |
| 月々の通信費 | 1台あたり 3,000円 〜 7,000円 | データ通信量や通話プランによります。法人向けプランが割安な場合が多いです。 |
| その他(関連機器) | 汎用ICカードリーダー:数千円〜 | NFC非搭載端末の場合に必要です。 |
今からできること
- 自治体独自の補助金を確認する: お住まいの都道府県や市区町村が、独自の支援制度を設けている場合があります。必ず公式サイトなどで最新情報を確認してください。
- 今後の国の動向を注視する: 新たな補助制度が開始される可能性もあるため、厚生労働省の「医療機関等向け総合ポータルサイト」などを定期的にチェックしましょう。
Q2. セキュリティ対策と、現場でのトラブル対処法は?
個人情報を取り扱うスマートフォンには、厳重なセキュリティ対策が不可欠です。
また、訪問先で「読み取れない」「電波がない」といったトラブルも想定されます。
事前の準備と、いざという時の対処法を知っておくことが重要です。
最低限実施すべきセキュリティ対策
- 端末のパスコード/生体認証設定: 推測されにくいパスワードを設定し、指紋認証や顔認証を必ず有効にします。
- OS・アプリの自動アップデート: 常に最新の状態に保ち、脆弱性を放置しないようにします。
- ウイルス対策ソフトの導入: 不正なアプリやサイトからの攻撃を防ぎます。
- MDM(モバイルデバイス管理)の導入: 紛失・盗難時に遠隔で端末をロックしたり、データを消去したりできる仕組みを検討します。
- マイナンバーの取り扱い: マイナンバー(12桁の番号)自体を書き写したり、控えを保管したりすることは法律で禁止されています。
現場でのトラブルシューティング
| トラブルの状況 | 考えられる原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| マイナンバーカードを読み取れない | ・スマホのNFC位置とカードの位置がずれている ・スマホケースが干渉している ・カード自体に問題がある | ・NFCアンテナの位置を確認し、ゆっくりかざし直す ・スマホケースを外してみる ・他の方法(資格確認書など)で確認し、利用者に市区町村窓口でのカード点検を促す |
| 訪問先の電波が悪い | ・地下や山間部など電波が届きにくい場所 | ・モバイルWi-Fiルーターを携行する ・一旦オフラインで対応し、電波の良い場所に戻ってから処理を行う(※ツールの仕様による) ・利用者宅のWi-Fi利用はセキュリティリスクがあるため慎重に判断する |
| 利用者が暗証番号を3回間違えた | ・暗証番号の失念 | ・端末がロックされてしまう ・ステーションでは解除できないため、利用者に住民票のある市区町村窓口での手続きを案内する |
| システム障害が発生した | ・オンライン資格確認システム自体の問題 | ・従来の健康保険証や資格確認書で資格を確認する ・オンライン資格確認等コールセンター(0800-080-4583)に状況を確認する |
まとめ:スマホ活用で訪問看護はもっとスムーズに!まずは情報収集から始めよう
訪問看護におけるオンライン資格確認の義務化は、避けては通れない制度変更です。
しかし、スマートフォンを正しく活用すれば、これは業務の負担増ではなく、むしろ効率化とサービス向上に繋がる絶好の機会となります。
現場の負担を減らし、より質の高いケアを利用者に届けるため、この変化を前向きに捉えましょう。
この記事で全体像を掴んだら、次の一歩として以下の行動を始めてみることをお勧めします。
- 自事業所のネットワーク環境や現在の端末状況を確認する
- お住まいの自治体で独自の補助金制度がないか調べてみる
- 複数の通信キャリアから法人向けスマホプランの見積もりを取ってみる
計画的に準備を進め、スムーズな新制度への移行を実現してください。
サービスサイトを詳しく見る訪問看護のオンライン資格確認とは何ですか?
オンライン資格確認は、マイナンバーカードを使って利用者の健康保険資格情報をリアルタイムに確認する仕組みであり、従来の紙の保険証をデジタル化して業務の正確性と効率性を向上させる制度です。
2024年12月からの義務化に伴い、訪問看護ステーションは何を準備すべきですか?
スマートフォンや必要なアプリ、端末の購入や設定、セキュリティ対策の整備、運用ルールの策定、そして関係機器や補助金プログラムの情報収集が必要です。
スマートフォンの選び方で注意すべきポイントは何ですか?
NFC機能の搭載状況、操作性、価格、セキュリティ性能を確認し、法人契約のスマートフォンを導入することを推奨します。また、個人のスマホ利用にはリスクも伴います。
資格確認に必要なツールやアプリにはどんな種類がありますか?
主に「マイナ資格確認アプリ」と「マイナ在宅受付Web」があり、それぞれ顔写真認証やマイナンバーカードの情報照会を行う機能があります。選択は運用形態に合わせて行います。
訪問先での資格確認の基本的な流れは何ですか?
まず、利用者への説明と同意を得て本人確認を行い(暗証番号や本人の目視確認)、次に資格情報をスマホで確認し、必要な情報を記録します。その後、日常の運用ルールを徹底します。