訪問看護のレセプト業務に携わる中で、毎年のように行われる制度改定に戸惑いを感じていませんか。
「最新の単位数はどこで確認すれば?」「この加算、うちの事業所でも算定できるのだろうか」といった疑問や、複雑な計算によるミスへの不安は、多くの担当者が抱える悩みです。
特に2024年度の改定は、基本単位数だけでなく加算・減算の要件にも変更があり、正確な知識のアップデートが不可欠です。
この記事では、訪問看護の単位数に関する最新情報を、専門外の方にも分かりやすく解説します。
この記事を読めば、以下の点が明確になります。
- 最新(2024年度版)の単位数が一覧でわかる
- 複雑な加算・減算のルールを正しく理解できる
- 実務上の注意点がわかり、計算ミスや算定漏れを防げる
日々の業務を効率化し、自信を持ってレセプト作成や利用者様への説明ができるよう、ぜひ最後までご覧ください。
サービスサイトを詳しく見るそもそも訪問看護の「単位」とは?料金計算の基本
訪問看護の料金を理解する上で、まず押さえておきたいのが「単位」という考え方です。
単位とは、提供される介護サービス一つひとつの内容や時間に応じて国が定めた点数のようなものです。
例えば、「看護師が30分訪問するサービス」には何単位、「理学療法士が20分リハビリを行うサービス」には何単位、といった形で決められています。
この単位数は全国共通ですが、実際に請求する金額は地域によって少し異なります。
これは、都市部と地方では人件費などに差があるため、その差を調整する必要があるからです。
そのため、単位数に地域ごとの単価を掛け合わせて、最終的な料金が計算される仕組みになっています。
単位数から請求額を算出する仕組み【地域区分単価も解説】
訪問看護のサービス料金は、以下の計算式で算出されます。
(基本サービスの単位数 + 各種加算の単位数 - 各種減算の単位数) × 地域区分単価 = 請求額
ここに出てくる「地域区分単価」が、地域ごとの人件費の差を調整するための係数です。
全国を1級地から7級地、その他の地域に分け、それぞれに1単位あたりの単価が定められています。
例えば、物価や人件費が高い東京都23区は1級地で単価が高く、地方では単価が少し低く設定されています。
| 地域区分 | 1単位あたりの単価(目安) | 主な該当地域(例) |
|---|---|---|
| 1級地 | 11.40円 | 東京都23区 |
| 2級地 | 11.12円 | 大阪市、横浜市 |
| 3級地 | 11.05円 | さいたま市、千葉市、名古屋市 |
| 4級地 | 10.84円 | 札幌市、仙台市、京都市 |
| 5級地 | 10.70円 | 広島市、福岡市 |
| 6級地 | 10.42円 | 宇都宮市、新潟市、熊本市 |
| 7級地 | 10.21円 | 青森市、盛岡市、秋田市 |
| その他 | 10.00円 | 上記以外の市町村 |
ご自身の事業所がどの地域区分に該当するかは、必ず管轄の自治体の情報を確認してください。
この単価を正確に把握することが、正しい請求額を計算するための第一歩となります。
利用者様の自己負担額は、この請求額に負担割合(1割〜3割)を掛けて計算します 。
【2026年最新】訪問看護の基本単位数 早見表
ここでは、読者の皆様が最も知りたいであろう、2024年6月1日時点での最新の基本単位数を一覧表(早見表)でご紹介します。
訪問看護の単位数は、「介護保険」と「医療保険」のどちらを利用するかによって異なります。
また、サービスを提供する事業所の種類(訪問看護ステーションか、病院・診療所か)によっても単位数が変わるため、注意が必要です。
以下の表を使えば、サービス提供時間や事業所の種別に応じた単位数を一目で確認できます。
日々のレセプト作成やケアプラン策定の際に、ぜひご活用ください。
【介護保険】サービス時間・提供元別の単位数一覧
要介護認定を受けている方が利用する、介護保険適用の訪問看護サービスの基本単位数です。
准看護師が訪問した場合は、表の単位数に98/100を乗じた数が算定単位数となります。
| サービス提供時間 | 訪問看護ステーションの場合 | 病院・診療所の場合 |
|---|---|---|
| 20分未満 | 314単位 | 313単位 |
| 30分未満 | 471単位 | 470単位 |
| 30分以上1時間未満 | 823単位 | 821単位 |
| 1時間以上1時間30分未満 | 1,128単位 | 1,125単位 |
| 1時間30分以上 | 1,428単位 | 1,425単位 |
| 理学療法士等による訪問(1回20分) | 294単位 | 293単位 |
【医療保険】サービス時間・提供元別の単位数一覧
医師の指示に基づき、医療的なケアが必要な場合に適用される医療保険の単位数です。
介護保険とは単位数が異なるため、混同しないようにしましょう。
| サービス提供時間 | 訪問看護ステーションの場合 | 病院・診療所の場合 |
|---|---|---|
| 20分未満 | 314単位 | 266単位 |
| 30分未満 | 471単位 | 399単位 |
| 30分以上1時間未満 | 823単位 | 574単位 |
| 1時間以上1時間30分未満 | 1,128単位 | 844単位 |
| 1時間30分以上 | 1,428単位 | 1,144単位 |
【一覧表】算定漏れを防ぐ!訪問看護の主要な加算・減算単位数
基本単位数に加えて、訪問看護の請求業務を複雑にしているのが「加算」と「減算」の存在です。
加算とは、特定の条件を満たす手厚いサービスや体制を評価し、基本単位数に上乗せされる単位のことです。
一方で減算は、定められた基準を満たしていない場合に、基本単位数から差し引かれるペナルティのようなものです。
算定できるはずの加算を見逃すと事業所の収益に影響しますし、減算の対象であるにもかかわらず請求すると不正請求と見なされる可能性があります。
ここでは、特に重要度の高い主要な加算・減算項目を一覧表にまとめました。
算定漏れや誤請求を防ぐために、各項目の要件と単位数をしっかり確認しましょう。
主な加算:利用者の状態や事業所の体制に応じて算定
加算は種類が非常に多岐にわたりますが、ここでは実務で算定する機会の多い項目を抜粋してご紹介します。
| 加算の種類 | 単位数 | 主な算定要件(概要) |
|---|---|---|
| 初回加算(Ⅰ) | 350単位/月 | 新規利用者が退院・退所した日に初回訪問を実施した場合 |
| 初回加算(Ⅱ) | 300単位/月 | 新規に訪問看護計画書を作成し、サービスを開始した場合 |
| 緊急時訪問看護加算(Ⅰ)1 | 600単位/月 | 24時間対応体制を整備し、計画外の緊急訪問を行った場合 |
| 緊急時訪問看護加算(Ⅰ)2 | 325単位/月 | 24時間対応体制を整備している場合 |
| 看護体制強化加算(Ⅰ) | 550単位/月 | 看護師等の割合やターミナルケアの実績等の基準を満たす場合 |
| 看護体制強化加算(Ⅱ) | 200単位/月 | 看護師等の割合や緊急時訪問の実績等の基準を満たす場合 |
| 在宅ターミナルケア加算 | 2,500単位/死亡月 | 在宅で死亡した利用者に対し、ターミナルケアを実施した場合 |
| 複数名訪問加算(Ⅰ) | 254単位/回(30分未満) 402単位/回(30分以上) | 利用者の身体的理由等で、複数名の看護師等で訪問した場合 |
| 長時間訪問看護加算 | 規定による | 1時間30分を超える長時間の訪問を必要とする場合に算定 |
| 退院時共同指導加算 | 600単位/回 | 入院中の医療機関と共同で退院後の在宅療養に関する指導を実施した場合 |
主な減算:未然に防ぎたいペナルティ
減算は事業所の運営体制に関わるものが多く、日頃からの備えが重要です。
2024年度改定で新設された項目もあるため、必ずチェックしてください。
| 減算の種類 | 減算内容 | 主な適用要件(概要) |
|---|---|---|
| 業務継続計画未実施減算 | 所定単位数から1%減算 | 感染症や災害発生時の業務継続計画(BCP)が未策定の場合 |
| 高齢者虐待防止措置未実施減算 | 所定単位数から1%減算 | 虐待防止のための委員会開催や指針整備、研修等が未実施の場合 |
| 理学療法士等の訪問回数超過減算 | 8単位/回を減算 | 理学療法士等の訪問回数が看護職員の訪問回数を超えた場合 |
| 准看護師による訪問 | 所定単位数から2%減算 | 准看護師が訪問看護サービスを提供した場合 |
実務で迷わない!訪問看護の特殊な算定ルールQ&A
単位数や加算・減算の知識だけでは、実務で遭遇する複雑なケースに対応できないことがあります。
「この利用者様の場合は、介護保険と医療保険のどちらを使えばいいの?」
「急な依頼で、前の訪問から2時間経たずに再訪問したけど、請求できる?」
ここでは、そんな現場で判断に迷いがちな特殊な算定ルールについて、Q&A形式で分かりやすく解説します。
Q1. 介護保険と医療保険、どちらが優先?適用ケースを解説
訪問看護は介護保険と医療保険の両方で提供されますが、どちらを適用するかには明確なルールがあります。
原則として、要介護・要支援認定を受けている65歳以上の方については、介護保険が優先適用されます。
ただし、以下のような特定の条件に該当する場合は、要介護認定を受けていても医療保険が適用されます。
| 項目 | 介護保険が適用される場合 | 医療保険が適用される場合 |
|---|---|---|
| 対象者 | 要介護1〜5、要支援1〜2の認定を受けている方 | ・要介護認定を受けていない方 ・厚生労働大臣が定める疾病等の方 ・病状の急性増悪期にある方 ・精神科訪問看護が必要な方 |
| 主なサービス内容 | 身体介護、生活援助、療養上の世話 | 医師の指示に基づく医療処置、病状管理、診療補助 |
| 指示書 | ケアプランに基づく訪問看護指示書 | 医師が発行する訪問看護指示書 |
厚生労働大臣が定める疾病(末期の悪性腫瘍、多発性硬化症、パーキンソン病関連疾患など)の利用者は、介護保険の被保険者であっても医療保険での訪問看護が優先されます。
利用者の状態を正確に把握し、適切な保険を適用することが重要です。
Q2. 介護保険の「2時間ルール」とは?例外ケースも紹介
介護保険の訪問看護には、通称「2時間ルール」と呼ばれる重要な規定があります。
これは、同一の利用者に対して1日に複数回の訪問看護を行う場合、サービス提供の間隔を概ね2時間以上空けなければならないというルールです。
もし間隔が2時間未満の場合、それらの訪問は1回のサービスと見なされ、それぞれの時間を合算して報酬を算定することになります。
このルールが設けられている背景には、短時間の訪問を不必要に繰り返し、報酬を不正に多く請求することを防ぐ目的があります。
ただし、利用者様の状態によっては、2時間未満の間隔で訪問が必要になるケースもあります。
以下のような場合は、例外としてそれぞれの訪問を個別に算定することが認められています。
- 利用者様の容体が急変し、緊急の訪問が必要となった場合
- ケアプラン上、複数のサービス(例:看護師による処置の後、理学療法士によるリハビリ)を連続して提供することが計画されている場合
- 20分未満の身体介護を中心とする訪問を行う場合
Q3. 「20分未満」の短時間訪問はどう算定する?【2024年改定対応】
20分未満の短時間訪問は、算定にあたって注意が必要なサービスの一つです。
特に2024年度の改定で要件が一部変更されたため、最新のルールを理解しておく必要があります。
介護保険と医療保険で、算定の考え方が異なる点がポイントです。
| 保険種別 | 主な算定要件 | 2024年度改定のポイント |
|---|---|---|
| 介護保険 | 日常的に頻回な医療処置が必要な利用者など、例外的なケースとして認められる場合に算定可能。 | 従来通り、原則として20分以上のサービスが基本であり、短時間訪問は限定的な扱いのまま。 |
| 医療保険 | ・週に1回以上、20分以上の訪問看護(保健師または看護師による)を実施していることが前提。 ・その上で、医師の指示に基づき、頻回な訪問が必要な場合に算定可能。 | 週1回以上の20分以上の訪問という要件が追加され、短時間訪問のみでの介入が難しくなった。 |
医療保険で20分未満の訪問を算定する場合、計画書に「週1回以上の20分以上の訪問」が含まれているかを必ず確認する必要があります。
記録においても、なぜ短時間の訪問が必要だったのか、その理由を明確に残しておくことが大切です。
今後の動向は?2025年度介護報酬改定の予測と経営への影響
2024年度の改定内容に対応するだけでなく、次の改定を見据えて動向を把握しておくことも、訪問看護ステーションの運営には不可欠です。
介護報酬改定は通常3年ごとに行われるため、次は2027年度の予定ですが、社会情勢の変化に応じて臨時の改定が行われる可能性もあります。
ここでは、今後の改定で議論される可能性のあるテーマと、それが事業所経営に与える影響について考察します。
2025年度改定に向けた主な論点と予測
2025年には、いわゆる「団塊の世代」がすべて75歳以上の後期高齢者となり、医療・介護の需要がさらに増大することが見込まれています。
この「2025年問題」を乗り越えるため、今後の制度改定では以下のようなテーマが主要な論点になると予測されます。
- さらなる専門性の評価: 特定の分野(緩和ケア、認知症ケアなど)で高い専門性を持つ看護師による訪問を評価する新たな加算が創設される可能性があります。
- DX・ICTの活用推進: 利用者の情報を関係職種とリアルタイムで共有するシステムや、オンラインでのカンファレンスなどを評価する単位が設けられるかもしれません。
- 人材確保と処遇改善: 介護職員等処遇改善加算の一本化に続き、看護職員の賃金アップや働きやすい環境整備を後押しする仕組みがさらに強化されることが考えられます。
- 医療と介護の連携強化: 在宅での看取りや、退院から在宅へのスムーズな移行をさらに推進するため、医療機関との連携を評価する加算が見直される可能性があります。
制度改定が訪問看護ステーションの経営に与える影響
単位数や加算・減算ルールの変更は、訪問看護ステーションの収益に直接的な影響を及ぼします。
例えば、基本単位数が引き上げられれば増収につながりますが、減算の要件が厳しくなれば減収のリスクが高まります。
近年の分析では、事業収益が増加しても、人件費などの費用がそれ以上に増加し、利益率が悪化する傾向も見られます。
こうした状況の中で安定した経営を続けるためには、制度改定の動向をいち早くキャッチし、柔軟に対応していくことが不可欠です。
具体的には、今後評価される可能性が高い専門性の強化や、業務効率化のためのICT導入などを計画的に進めていく視点が求められます。
制度の変化を「負担」と捉えるだけでなく、「自事業所の強みを伸ばすチャンス」と捉えることが、持続的な発展の鍵となるでしょう。
まとめ:正確な単位数の理解が、質の高いサービスと健全な経営につながる
本記事では、2024年度の最新情報に基づき、訪問看護の単位数について網羅的に解説しました。
基本単位数の早見表から、複雑な加算・減算のルール、実務で迷いやすい特殊な算定方法まで、多岐にわたる内容をお届けしました。
制度改定は頻繁に行われ、情報のキャッチアップは大変ですが、単位数を正確に理解することは極めて重要です。
正しい知識は、レセプトの返戻を防ぎ、事務作業を効率化するだけでなく、利用者様やご家族へ料金を明確に説明する際の信頼にもつながります。
そして、算定できる加算を漏れなく請求し、減算を未然に防ぐことは、事業所の健全な経営を支える土台となります。
この記事が、日々の業務に奮闘されている皆様の一助となり、自信を持って業務に取り組むきっかけとなれば幸いです。
2024年度版の訪問看護の単位数はどこで確認できますか?
2024年度版の訪問看護の単位数は、最新の一覧表(早見表)や制度改定の公式資料で確認できます。
訪問看護の単位数を計算する基本的な方法は何ですか?
訪問看護の料金は、基本サービスの単位数に加算や減算の単位数を加減し、その合計に地域区分単価を掛けて算出します。
地域区分単価について教えてください。
地域区分単価は、東京都23区や地方都市などの地域ごとに設定されており、人件費や物価の違いに応じて異なります。
加算と減算の違いは何ですか?
加算は特定の条件を満たすサービスや体制に対して付加される単位であり、減算は基準を満たさない場合に基本単位から差し引かれるものです。
実務で迷わないための訪問看護の特殊な算定ルールにはどのようなものがありますか?
例えば、介護保険と医療保険の優先適用や2時間ルール、20分未満の短時間訪問の算定条件などがあります。これらのルールはケースごとに正しく理解し適用する必要があります。