訪問看護ステーションやクリニックで請求業務に携わる中で、このようなお悩みはありませんか。
「訪問看護指示書の料金って、結局いくらで計算すればいいのだろう?」
「請求ミスによる返戻や査定は、なんとしても避けたい…」
「医療保険と介護保険の使い分けが複雑で、いつも不安に感じる」
訪問看護指示書の料金体系は一見複雑に思えるため、自信を持って請求業務を行うのは簡単ではありません。
しかし、基本的なルールとポイントさえ押さえれば、誰でも正確に算定できるようになります。
この記事では、訪問看護指示書の料金について、診療報酬の基本から保険適用のルール、実務で役立つ注意点までを網羅的に解説します。
最後までお読みいただくことで、請求に関するあらゆる疑問が解消され、日々の業務への不安が自信へと変わるはずです。
訪問看護指示書の料金とは?基本の300点と支払い者を解説
まず、訪問看護指示書の料金に関する最も基本的な知識から確認していきましょう。
この料金は誰が、いくら、どこに支払うものなのでしょうか。
基本を正しく理解することが、複雑な請求業務をスムーズに進める第一歩となります。
料金の正体は「訪問看護指示料」300点(3,000円相当)
訪問看護指示書の発行にかかる費用の正式名称は「訪問看護指示料」です。
これは厚生労働省が定める診療報酬の一つで、点数が決められています。
通常の訪問看護指示書の場合、算定される点数は 300 点 です。
診療報酬は 1 点=10 円で計算されるため、300 点は 3,000 円 に相当します。
患者様が実際に支払う自己負担額は、この 3,000 円に保険の負担割合を掛けた金額です。
具体的な自己負担額は、以下の表のようになります。
| 負担割合 | 訪問看護指示料(300点)の自己負担額 |
|---|---|
| 1 割負担 | 300 円 |
| 2 割負担 | 600 円 |
| 3 割負担 | 900 円 |
このように、点数と負担割合さえわかれば、自己負担額は簡単に計算できます。
【注意】文書料とは違う!診療報酬として算定される費用
ここで注意したいのが、「文書料」との違いです。
病院が発行する診断書などには、医療機関が独自に定める「文書料」がかかることがあります。
しかし、訪問看護指示書の発行は、診療報酬として国が定めた公的な医療行為です。
そのため、原則として「訪問看護指示料」とは別に「文書料」を請求されることはありません。
この二つを明確に区別して理解しておくことが重要です。
もし請求内容に不明な点があれば、発行元の医療機関に確認しましょう。
支払い者は誰?患者・医療機関・ステーションのお金の流れ
この訪問看護指示料は、誰がどこに支払うのでしょうか。
お金の流れを正しく把握しておくことで、利用者様からの質問にも明確に答えられます。
重要なのは、訪問看護ステーションが利用者様から直接この費用を受け取ることはない、という点です。
| 支払いプロセス | 担当者 | 内容 |
|---|---|---|
| 1. 指示書発行 | 主治医のいる医療機関 | 訪問看護ステーションへ指示書を交付します。 |
| 2. 料金請求 | 医療機関 | 診療報酬として保険者(市町村や健保組合)と患者様へ請求します。 |
| 3. 料金支払い | 患者様 | 自己負担割合に応じた金額を、医療機関の窓口などで支払います。 |
つまり、訪問看護指示料は、指示書を発行した医療機関の収入となります。
訪問看護ステーションの請求業務とは、直接的には関係しないことを覚えておきましょう。
【ケース別】加算あり?特別訪問看護指示書などの料金一覧
訪問看護で発行される指示書は、通常の「訪問看護指示書」だけではありません。
患者様の状態に応じて、特別な指示書が発行されることがあります。
ここでは、そうしたケースごとの料金について解説します。
特別訪問看護指示書は「特別訪問看護指示加算」で+100点
患者様の病状が急激に悪化した場合や、終末期などで集中的なケアが必要な場合。
このとき、主治医の判断で「特別訪問看護指示書」が発行されます。
この指示書が発行されると、医療保険での訪問看護が 14 日間可能になります。
料金は、通常の訪問看護指示料 300 点に「特別訪問看護指示加算」として 100 点 が加算されます。
つまり、合計で 400 点(4,000 円相当)を算定することになります。
| 指示書の種類 | 基本点数 | 加算 | 合計点数 | 金額相当 |
|---|---|---|---|---|
| 通常の訪問看護指示書 | 300 点 | なし | 300 点 | 3,000 円 |
| 特別訪問看護指示書 | 300 点 | 100 点 | 400 点 | 4,000 円 |
この加算は、より密な医療的ケアが必要な患者様への手厚い対応を評価するものです。
精神科訪問看護指示書・在宅患者訪問点滴注射指示書の料金
その他にも、特定の状況で使われる指示書があります。
それぞれの料金も確認しておきましょう。
| 指示書の種類 | 算定項目 | 点数 | 主な対象者・状況 |
|---|---|---|---|
| 精神科訪問看護指示書 | 精神科訪問看護指示料 | 300 点 | 精神疾患を持ち、訪問看護が必要な方 [1] |
| 在宅患者訪問点滴注射指示書 | 在宅患者訪問点滴注射指示料 | 100 点 | 週 3 日以上の点滴注射を在宅で行う必要がある方 |
これらの指示書が関わる場合も、算定する点数が異なることを覚えておきましょう。
特に、在宅での点滴注射は訪問看護の現場で頻繁に関わるため、指示料が 100 点であることを把握しておく必要があります。
医療保険?介護保険?請求前に必須の保険適用ルール
訪問看護の請求業務において、最も複雑で間違いやすいのが保険の適用分けです。
訪問看護指示書そのものの料金は医療保険で算定されますが、訪問看護サービス費はどちらの保険で請求するかが変わります。
このルールを理解することが、返戻や査定を防ぐ上で極めて重要です。
原則は「介護保険」が優先!適用の基本ルール
訪問看護の保険適用には、大原則があります。
それは、「要支援・要介護認定を受けている方の場合は、介護保険が優先される」ということです。
これは、在宅での療養生活を支えるという介護保険法の目的に基づいています。
まずはこの大原則をしっかりと押さえることが、保険適用の判断の出発点となります。
医療保険が適用される特定の条件とは?
原則は介護保険が優先ですが、要介護認定を受けていても、特定の条件に当てはまる場合は医療保険が適用されます。
その主なケースは以下の通りです。
| 医療保険が適用される主なケース | 具体的な内容 |
|---|---|
| 厚生労働大臣が定める疾病等の方 | 末期の悪性腫瘍、難病など、厚生労働省が指定する疾病(別表第七)に該当する場合 [2] |
| 特別訪問看護指示書の交付期間中 | 病状の急性増悪などにより、特別訪問看護指示書が発行された期間中(最長 14 日間) |
| 精神科訪問看護が必要な方 | 精神科訪問看護指示書に基づき、精神科訪問看護を受ける場合 |
これらの条件に該当するかどうかを正確に確認し、適切な保険で請求することが求められます。
特に、厚生労働大臣が定める疾病に該当するかは、利用者様の状態を正確に把握する上で非常に重要です。
よくある疑問を解決!請求・算定時の注意点Q&A
最後に、これまでの内容を踏まえ、実務でよく遭遇する疑問点についてQ&A形式で解説します。
細かいルールを把握しておくことで、より自信を持って業務に臨むことができます。
| Q. 質問 | A. 回答 |
|---|---|
| Q1. 訪問看護指示料は、月に何回まで算定できますか? | 原則として、患者様 1 人につき月 1 回までです。ただし、月の途中で保険者が変更になった場合などは、それぞれの保険者に対して月 1 回ずつ算定できます。 |
| Q2. 複数の訪問看護ステーションを利用する場合、指示料はどうなりますか? | 患者様が複数のステーションを利用する場合でも、指示書を発行する主治医は 1 人のため、算定は月 1 回です。指示料は、主治医が代表して算定します。 |
| Q3. 指示書を発行する日に、医師の診察は必須ですか? | 必ずしも指示書作成日に診察が必要なわけではありません。医師が患者様の状態を継続的に把握しており、指示書作成が可能と判断すれば、診察日以外でも発行・算定できます。 |
| Q4. 主治医からなかなか指示書が発行されません。どうすれば良いですか? | まずは、ステーションから医療機関へ丁寧に状況を確認し、発行を依頼することが基本です。医師の多忙や情報不足が原因の場合もあるため、患者様の直近の様子などを情報提供することも有効です。 |
これらのQ&Aを参考に、日々の疑問を一つひとつ解消していきましょう。
まとめ:訪問看護指示書の料金を正しく理解し、請求業務の不安を解消しよう
今回は、訪問看護指示書の料金について、基本から応用まで詳しく解説しました。
最後に、この記事の重要なポイントを振り返ります。
- 訪問看護指示書の料金の正式名称は「訪問看護指示料」で、基本は 300 点(3,000 円相当)です。
- この料金は医療機関が算定するもので、ステーションが利用者様から直接徴収するものではありません。
- 特別訪問看護指示書の場合は 100 点の加算 があり、合計 400 点となります。
- 訪問看護サービスの保険適用は、原則として介護保険が優先されます。
- ただし、特定の疾病や状態によっては、医療保険が適用されるケースがあります。
訪問看護指示書は、在宅療養を支える医療と介護の連携に不可欠な書類です。
その料金体系を正しく理解することは、請求業務のミスを防ぐだけでなく、事業所の安定した経営にも繋がります。
本記事で得た知識を日々の業務に活かし、自信を持って業務に取り組んでいただければ幸いです。
訪問看護指示書の料金体系の基本は何ですか?
訪問看護指示書の料金は「訪問看護指示料」と呼ばれ、通常は300点(3,000円相当)で算定されます。この点数は厚生労働省の診療報酬に基づいています。
訪問看護指示料の自己負担額はどのように計算しますか?
診療報酬の点数を1点=10円として計算し、自己負担割合を掛けることで自己負担額を算出できます。例えば、負担割合が1割の場合、300点は3,000円のうち300円の負担になります。
「文書料」と診療報酬の費用の違いは何ですか?
診療報酬として算定される訪問看護指示料は国が定めた医療行為の費用であり、「文書料」とは異なります。病院が発行する診断書等にかかる「文書料」とは別のもので、請求についても明確に区別する必要があります。
訪問看護指示料の支払い者は誰ですか?
指示書を発行した医療機関が収入となり、料金は患者様の自己負担割合に応じて患者様が医療機関で支払います。訪問看護ステーションは請求に関与しません。
特殊な訪問看護指示書の料金はどうなりますか?
例えば、特別訪問看護指示書の場合は通常の300点に100点の加算があり、合計400点(4,000円相当)となります。この加算は状況に応じた密な医療ケアを評価するためのものです。