訪問看護の料金計算や利用者様への説明で、「単位」について迷った経験はありませんか。
また、ご自身やご家族がサービスを利用するにあたり、費用がいくらになるか不安に感じることもあるでしょう。
介護保険制度は専門的で、特に数年ごとに行われる報酬改定は内容を正確に把握するのが大変です。
この記事では、訪問看護ステーションで働く方やケアマネジャー、そしてサービス利用を検討している方へ向けて、複雑な訪問看護の介護保険単位を徹底解説します。
2024年度の最新改定に対応した料金早見表はもちろん、具体的なモデルケースを用いた自己負担額のシミュレーションまで、この記事一本で全てがわかります。
正確な知識を身につけて、日々の業務やサービス利用の不安を解消しましょう。
まずは基本から!訪問看護の「単位」と料金計算の仕組み
介護保険の訪問看護サービスを利用した際の料金は、「単位」という基準をもとに計算されます。
この単位とは、国が定めたサービスの公定価格のようなものです。
サービスの種類や提供時間に応じて、それぞれ異なる単位数が決められています。
「1単位=10円」ではない?地域で単価が変わる「地域区分」とは
多くの場合、「1単位=10円」と説明されますが、これはあくまで基本的な単価です。
実際には、地域ごとの人件費や物価の差を調整するため、「地域区分」という制度が設けられています。
例えば、都市部では単価が高く、地方では基本単価に近い設定になっています。
そのため、同じサービスを受けても、お住まいの地域によって請求金額が少し変わるのです。
ご自身の事業所や利用者がどの地域区分に該当するか、確認することが重要です。
| 地域区分 | 上乗せ割合 | 1単位あたりの単価 | 主な該当市町村(例) |
|---|---|---|---|
| 1級地 | 20% | 11.40円 | 東京都特別区(23区) |
| 2級地 | 16% | 11.12円 | 横浜市、大阪市 |
| 3級地 | 15% | 11.05円 | さいたま市、千葉市、名古屋市 |
| 4級地 | 12% | 10.84円 | 神戸市 |
| 5級地 | 10% | 10.70円 | 広島市、福岡市 |
| 6級地 | 6% | 10.42円 | 宇都宮市、静岡市 |
| 7級地 | 3% | 10.21円 | 札幌市、仙台市、新潟市 |
| その他 | 0% | 10.00円 | 上記以外の市町村 |
【計算式】単位から自己負担額を算出する3ステップ
実際の自己負担額は、以下の3つのステップで簡単に計算できます。
この流れを覚えておけば、ご自身でもおおよその料金を見積もることが可能です。
- サービスの合計単位数を出す
- 利用したサービスの基本単位に、特別な対応をした場合の「加算単位」を足し、ルール違反があった場合の「減算単位」を引きます。
(基本単位 + 加算単位 - 減算単位)
- 総費用を計算する
- ステップ1で計算した合計単位数に、お住まいの地域の単価(地域区分単価)を掛け合わせます。
合計単位数 × 地域区分単価
- 自己負担額を割り出す
- ステップ2で計算した総費用に、ご自身の介護保険負担割合(1割、2割、3割のいずれか)を掛けると、実際に支払う金額がわかります。
総費用 × 自己負担割合(例: 0.1)
【2024年度最新】訪問看護費の基本単位数 早見表
ここからは、2024年度(令和6年度)の介護報酬改定に対応した最新の基本単位数を一覧表でご紹介します。
事業所の種類や要介護度によって単位数が異なりますので、該当する項目をご確認ください。
これらの表は、日々の業務ですぐに確認できるよう、保存版としてご活用いただけます。
【要介護1〜5】訪問看護ステーションの場合
多くの訪問看護サービスは、専門の訪問看護ステーションから提供されます。
看護師等による訪問か、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士(PT・OT・ST)による訪問かで単位数が異なります。
| サービス提供時間 | 看護師等による訪問 | 理学療法士等による訪問(1回につき) |
|---|---|---|
| 20分未満 | 314単位 | 294単位 |
| 30分未満 | 471単位 | – |
| 30分以上1時間未満 | 823単位 | – |
| 1時間以上1時間30分未満 | 1,128単位 | – |
【要介護1〜5】病院・診療所の場合
地域の病院や診療所が訪問看護サービスを提供する場合の単位数です。
訪問看護ステーションとは単位数が少し異なる点にご注意ください。
| サービス提供時間 | 看護師等による訪問 | 理学療法士等による訪問(1回につき) |
|---|---|---|
| 20分未満 | 266単位 | 293単位 |
| 30分未満 | 399単位 | – |
| 30分以上1時間未満 | 574単位 | – |
| 1時間以上1時間30分未満 | 844単位 | – |
【要支援1・2】介護予防訪問看護の場合
要支援認定を受けた方向けの介護予防を目的とした訪問看護です。
自立した生活を長く続けられるよう支援するためのサービスとなります。
| 事業所の種類 | サービス提供時間 | 基本単位数 |
|---|---|---|
| 訪問看護ステーション | 20分未満 | 303単位 |
| 30分未満 | 455単位 | |
| 30分以上1時間未満 | 796単位 | |
| 病院・診療所 | 20分未満 | 257単位 |
| 30分未満 | 387単位 | |
| 30分以上1時間未満 | 555単位 |
料金が変動する重要ポイント!加算・減算の単位数一覧【2024年度改定対応】
訪問看護の料金は、基本単位数だけで決まるわけではありません。
利用者の状態や事業所の体制、サービスの提供時間帯などに応じて、単位数が加算されたり、逆に減算されたりします。
これらの加算・減算を正確に理解することが、適切な料金計算の鍵となります。
サービスの質や体制を評価する「主な加算」
加算は、手厚いケアや専門的な対応、24時間体制などを評価するためのものです。
利用者のニーズに応じた質の高いサービスを提供することで、基本報酬に単位数が上乗せされます。
ここでは、特に重要度の高い加算をいくつかご紹介します [1]。
緊急時訪問看護加算(Ⅰ・Ⅱ):24時間対応体制を評価
利用者や家族からの相談に24時間対応できる体制を整えている事業所が算定できる加算です。
2024年度改定で、より手厚い業務管理体制を評価する(Ⅰ)が新設されました。
- 緊急時訪問看護加算(Ⅰ): 600単位/月
- 緊急時訪問看護加算(Ⅱ): 574単位/月
ターミナルケア加算:看取りへの手厚い支援を評価
人生の最終段階にある利用者に対して、医師と連携し、手厚いケアを提供した場合に算定されます。
在宅での穏やかな看取りを支える重要な役割が評価され、2024年度改定で単位数が引き上げられました。
- ターミナルケア加算: 2,500単位/月
初回加算(Ⅰ・Ⅱ):退院直後の円滑な在宅移行を支援
病院などから退院・退所した利用者へ、円滑な在宅療養への移行を支援するために算定されます。
退院したその日に訪問する場合(Ⅰ)は、より高く評価されます。
- 初回加算(Ⅰ): 350単位/月 (退院・退所した日の訪問)
- 初回加算(Ⅱ): 300単位/月 (退院・退所した日の翌日以降の訪問)
看護体制強化加算(Ⅰ・Ⅱ):質の高い看護体制を評価
看取り実績や重度者への対応など、質の高いサービスを提供する体制が整っている事業所を評価する加算です。
算定要件は厳しいですが、その分高い単位数が設定されています。
- 看護体制強化加算(Ⅰ): 550単位/月
- 看護体制強化加算(Ⅱ): 200単位/月
その他、知っておきたい加算(長時間訪問、複数名訪問、専門管理加算など)
上記以外にも、利用者の状況に応じて様々な加算があります。
代表的なものを表にまとめました。
| 加算の名称 | 単位数 | 算定要件の概要 |
|---|---|---|
| 長時間訪問看護加算 | 300単位/回 | 特別な管理が必要な利用者へ1時間30分以上の訪問を行った場合 |
| 複数名訪問加算(Ⅰ) | 30分未満: 254単位 30分以上: 402単位 | 看護師等が2名以上で訪問した場合 |
| 専門管理加算 | 250単位/月 | 専門研修を受けた看護師が計画的な管理を行った場合 |
| 口腔連携強化加算 | 50単位/回 | 口腔状態を評価し、歯科医療機関と情報連携した場合 |
必ずチェック!ペナルティとなる「主な減算」
減算は、法令で定められた基準を満たしていない場合に適用されるペナルティです。
事業所の運営体制に不備があると、基本報酬から単位数が引かれてしまいます。
コンプライアンスを遵守し、適切な事業所運営を心がけることが不可欠です [2]。
業務継続計画(BCP)未策定減算:災害・感染症への備え
災害や感染症の発生時にサービスを継続するための計画(BCP)を策定していない場合に適用されます。
2025年3月31日までの経過措置期間が終了すると、未策定の事業所は減算対象となります。
- 減算内容: 所定単位数の1%を減算
高齢者虐待防止措置未実施減算:利用者の尊厳を守る義務
虐待防止のための委員会開催や研修実施といった、法律で定められた措置を講じていない場合に減算されます。
利用者の尊厳を守るための体制構築は、事業所の重要な責務です。
- 減算内容: 所定単位数の1%を減算
【実践編】モデルケースで見る!訪問看護の料金シミュレーション
これまでの知識を使って、具体的な料金がいくらになるのか計算してみましょう。
2つのモデルケースを用意しましたので、計算の流れを一緒に確認していきましょう。
ご自身の状況に近いケースを参考に、費用の目安を掴んでみてください。
ケース1:要介護3・東京23区在住・週2回(60分)の訪問を受けるAさんの場合
- 利用者情報: Aさん、要介護3、自己負担割合1割
- 居住地: 東京都23区(地域区分:1級地、単価11.40円)
- 利用サービス: 訪問看護ステーションから週2回(月8回)、看護師による1回60分の訪問
- 加算: 緊急時訪問看護加算(Ⅱ)を算定
- 基本単位の計算
- 30分以上1時間未満の訪問:823単位
- 月8回の利用なので、
823単位 × 8回 = 6,584単位
- 加算単位の確認
- 緊急時訪問看護加算(Ⅱ):574単位/月
- 1ヶ月の総単位数
6,584単位(基本) + 574単位(加算) = 7,158単位
- 総費用の計算
7,158単位 × 11.40円/単位 = 81,501円
- 自己負担額の計算
81,501円 × 0.1(1割負担) = 8,150円- Aさんの1ヶ月あたりの自己負担額の目安は、約8,150円となります。
ケース2:要介護5・地方在住・緊急時加算あり・ターミナルケアを受けるBさんの場合
- 利用者情報: Bさん、要介護5、自己負担割合2割
- 居住地: 地方(地域区分:その他、単価10.00円)
- 利用サービス: 訪問看護ステーションから頻回な訪問
- 加算: 緊急時訪問看護加算(Ⅰ)、ターミナルケア加算を算定
- 1ヶ月の総単位数(仮定): 基本報酬と各種加算を合計し、12,000単位だったと仮定します。
- 総費用の計算
12,000単位 × 10.00円/単位 = 120,000円
- 自己負担額の計算
120,000円 × 0.2(2割負担) = 24,000円- Bさんの1ヶ月あたりの自己負担額の目安は、約24,000円となります。
- ※実際には、高額介護サービス費制度により自己負担額の上限が設けられています。
まとめ:正確な単位の理解が、質の高いケアと健全な事業運営につながる
この記事では、2024年度の最新情報に基づき、訪問看護の介護保険単位について解説しました。
単位の基本から料金計算、具体的なシミュレーションまで、ご理解いただけたでしょうか。
- 単位はサービスの公定価格であり、地域単価を掛けて料金を計算する
- 2024年度改定で基本報酬や各種加算の単位数が変更された
- サービスの質を評価する「加算」と、法令遵守を求める「減算」がある
- 正確な単位計算が、適正な請求と事業所の安定経営に不可欠である
訪問看護の単位は、単なる数字の羅列ではありません。
それは、提供される一つひとつのケアの価値を可視化したものであり、専門職の働きを評価する基準です。
この記事で得た知識が、訪問看護に携わる方々の業務効率化や、サービスを利用する方々の経済的な不安解消の一助となれば幸いです。
訪問看護における「単位」とは何ですか?
訪問看護の料金は、「単位」という基準をもとに計算されます。これは、国が定めたサービスの公定価格のようなもので、サービスの種類や提供時間に応じて異なる単位数が設定されています。
地域区分による単価の違いとは何ですか?
1単位=10円とされる基本単価は、地域ごとの人件費や物価の差に対応するため、「地域区分」という制度によって調整されています。都市部では単価が高く、地方では標準的な単価に近い設定になっており、地域によって請求金額が変動します。
訪問看護の料金を自己負担額に換算するにはどうすれば良いですか?
自己負担額を計算するには、まず利用したサービスの合計単位数を地域の単価と掛け合わせ、次に、その総費用に自己負担割合(例:1割、2割、3割)を掛けて算出します。この3ステップを覚えておくと、見積もりが容易になります。
2024年度の訪問看護費用の最新単位数はどこで確認できますか?
2024年度の最新の基本単位数は、一覧表や資料として公開されており、訪問看護事業者やケアマネジャー向けに提供されています。これらの資料は、日常の業務ですぐに確認できる保存版として役立ちます。
料金計算において、加算と減算の違いは何ですか?
加算は、サービスの質や体制を評価して基本報酬に上乗せされるもので、より手厚いケアを提供していることを反映します。一方、減算は、法令を遵守していない場合や運営体制に不備がある場合に適用され、基本報酬から差し引かれるものです。