「親の退院後、在宅でのケアに訪問看護を勧められたけれど、料金がいくらかかるか見当もつかず不安…」
「医療保険と介護保険、どちらを使うかで料金が変わると聞いたけど、仕組みが複雑でよくわからない…」
このような悩みを抱えていませんか。
大切なご家族のために訪問看護を検討し始めたものの、費用のことが心配で一歩踏み出せない方は少なくありません。
この記事では、訪問看護の料金に関するそんな不安を解消します。
専門外の方でもスッキリ理解できるよう、複雑な料金体系の全体像から、ご自身のケースでの具体的な自己負担額の計算方法、そして費用負担を軽くする公的制度まで、一つひとつ丁寧に解説します。
読み終える頃には、安心してケアマネージャーに相談し、次のステップへ進むための知識が身につくはずです。
まずは結論から!訪問看護の利用料金相場【1回・1ヶ月あたり】
詳しい仕組みは後ほど解説しますが、まずは多くの方が一番知りたい「結局いくらかかるの?」という疑問にお答えします。
自己負担割合が1割の場合、1回あたりの料金と、週に2回利用した場合の1ヶ月あたりの料金相場は以下の通りです。
これはあくまで基本的な目安であり、サービス内容や時間、お住まいの地域によって金額は変動します。
しかし、大まかな金額感を把握しておくだけでも、漠然としたお金の不安は少し和らぐはずです。
まずはこの金額を参考に、以降の詳細な解説を読み進めてみてください。
| 保険の種類 | 1回あたりの自己負担額の目安 (1割負担の場合) | 1ヶ月あたりの自己負担額の目安 (週2回利用の場合) |
|---|---|---|
| 介護保険 | 約 400~1,300 円 | 約 3,200~10,400 円 |
| 医療保険 | 約 550~1,300 円 | 約 4,400~10,400 円 + 管理療養費など |
料金理解のキホン!あなたの親は「医療保険」「介護保険」どっちを使う?
訪問看護の料金を理解する上で、最も重要なのが「医療保険」と「介護保険」のどちらが適用されるか、という点です。
どちらの保険を使うかによって、料金の計算方法や利用できる回数の上限などが大きく変わってきます。
ご自身の親御さんの場合、どちらに該当する可能性が高いのかを把握することが、料金理解の第一歩となります。
次の項目で、どちらの保険が適用されるかを簡単に診断してみましょう。
【簡単3ステップ診断】フローチャートで適用保険を確認しよう
以下の3つの質問に順番に答えていくことで、どちらの保険が適用されるか見当をつけることができます。
- 要介護・要支援認定を受けていますか?
- はい → 次の質問2へ
- いいえ → 【医療保険】 が適用されます。
- 医師から「特別訪問看護指示書」が交付されていますか?または、厚生労働省が定める特定の疾病(末期の悪性腫瘍や難病など)に該当しますか?
- はい → 【医療保険】 が優先して適用されます。
- いいえ → 次の質問3へ
- 年齢は65歳以上ですか?(40歳~64歳の場合は、特定の16疾病に該当しますか?)
- はい → 【介護保険】 が適用されます。
- いいえ → 【医療保険】 が適用されます。
医療保険と介護保険の基本的な違いと優先ルール
診断の結果はいかがでしたか。
医療保険と介護保険では、以下のように目的や対象者が異なります。
| 項目 | 医療保険 | 介護保険 |
|---|---|---|
| 目的 | 病気やケガの治療 | 日常生活の支援・介護予防 |
| 対象者の例 | ・40歳未満の方 ・40歳以上で要介護認定を受けていない方 ・特定の疾病や状態の方(下記参照) | ・65歳以上で要介護・要支援認定を受けた方 ・40~64歳で特定疾病により要介護認定を受けた方 |
| 利用回数 | 原則として週3日まで (特別な指示があれば週4日以上も可能) | ケアプランに基づき、要介護度ごとの支給限度額の範囲内 |
| 指示書 | 主治医からの「訪問看護指示書」が必須 | ケアプランに組み込まれ、主治医の指示が必要 |
重要なのは、要介護認定を受けている方でも、特定の条件に当てはまる場合は医療保険が優先されるというルールです。
具体的には、以下のようなケースが該当します。
- 末期の悪性腫瘍、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)など、厚生労働大臣が定める疾病の方
- 病状が急に悪化し、主治医から「特別訪問看護指示書」が交付された方
【介護保険】で利用する場合の訪問看護料金の仕組み
介護保険を使って訪問看護を利用する場合、料金の仕組みにはいくつかのポイントがあります。
まず、料金は「円」ではなく「単位」という独自の基準で計算されるのが特徴です。
1単位あたりの金額は、地域の人件費などに応じて全国をいくつかの区分に分けた「地域区分単価」(約10円~11.40円)によって決まります。
そして、計算された合計金額のうち、所得に応じて決められた1割~3割を自己負担として支払います。
基本料金:訪問時間とサービス内容で決まる
介護保険の基本料金は、1回の訪問にかかる時間と、看護師や理学療法士などの職種によって定められています。
以下は、看護師等が訪問した場合の基本的なサービス費の単位数です。
| 訪問時間 | 要介護1~5の場合の単位数 | 要支援1・2の場合の単位数 (1ヶ月あたり) |
|---|---|---|
| 20分未満 | 313 単位 | – |
| 30分未満 | 470 単位 | – |
| 30分以上1時間未満 | 821 単位 | 3,846 単位 |
| 1時間以上1時間30分未満 | 1,125 単位 | 5,550 単位 |
追加料金:専門的なケアや緊急時の「加算」とは?
基本料金に加えて、利用者の状態や提供するサービスの内容に応じて、様々な「加算」が追加されることがあります。
これは、専門性の高いケアや、24時間体制での対応などを評価するための追加料金です。
| 主な加算項目 | 内容 | 単位数の目安 |
|---|---|---|
| 初回加算 | 新規に訪問看護計画を作成した場合 | 300 単位/月 |
| 緊急時訪問看護加算 | 24時間対応できる体制を整えている事業所の場合 | 574 単位/月 |
| 特別管理加算 | 点滴やカテーテル管理など、特別な医療処置が必要な場合 | 250~500 単位/月 |
| ターミナルケア加算 | 終末期の在宅での看取りを支援した場合 | 2,500 単位/死亡月 |
【医療保険】で利用する場合の訪問看護料金の仕組み
医療保険で訪問看護を利用する場合、料金は「単位」ではなく「円」で直接計算されるため、より分かりやすいかもしれません。
自己負担割合は、年齢や所得に応じて1割~3割と定められています。
また、医療保険の特徴として、月の最初の訪問時には、基本料金とは別に「訪問看護管理療養費」という費用がかかります。
これは、訪問看護計画の管理や調整などに対する費用です。
精神疾患をお持ちの方を対象とした「精神科訪問看護」も、医療保険が適用されます。
基本料金:「訪問看護基本療養費」は訪問頻度で変わる
医療保険の基本料金は、「訪問看護基本療養費」と呼ばれます。
この料金は、週に何回訪問するか(週3日までか、4日以上か)や、訪問する職種によって変動します。
| 項目 | 料金の目安 |
|---|---|
| 訪問看護基本療養費(週3日まで) | 1回 5,550 円 |
| 訪問看護基本療養費(週4日以上) | 1回 6,550 円 |
| 訪問看護管理療養費(月の初回訪問時) | 7,670 円 ~ |
| 精神科訪問看護基本療養費 | 1回 5,550 円 ~ |
追加料金:深夜の訪問や終末期ケアなどの「加算」
医療保険にも、介護保険と同様に様々な加算があります。
利用者の状態や特別な対応に応じて、基本料金に上乗せされます。
| 主な加算項目(療養費) | 内容 | 料金の目安 |
|---|---|---|
| 24時間対応体制加算 | 緊急時に対応できる体制を評価 | 6,400 円/月 |
| 特別管理加算 | 特別の医療処置が必要な場合 | 2,500~5,000 円/月 |
| 緊急時訪問看護加算 | 計画外の緊急訪問を行った場合 | 1回 2,650 円 |
| ターミナルケア療養費 | 在宅での看取りを支援した場合 | 25,000 円/死亡月 |
| 難病等複数回訪問加算 | 難病等で1日に複数回の訪問が必要な場合 | 4,500 円/日~ |
【モデルケース別】訪問看護の自己負担額シミュレーション
ここまでの情報を元に、具体的なモデルケースで1ヶ月の自己負担額がいくらになるか計算してみましょう。
ご自身の状況と近いケースを参考に、費用のイメージを掴んでみてください。
ケース1:介護保険を利用(要介護2・週1回・1割負担)
- 利用状況: 要介護2の方が、週に1回(月4回)、1回あたり45分の訪問看護を利用。
- 加算: 緊急時訪問看護加算を算定。
- 地域区分: 1単位=10円の地域。
| 項目 | 計算 | 金額・単位 |
|---|---|---|
| 基本料金 (30分~1時間未満) | 821単位 × 4回 | 3,284 単位 |
| 緊急時訪問看護加算 | 574単位 × 1ヶ月 | 574 単位 |
| 合計単位数 | 3,284 + 574 | 3,858 単位 |
| 1ヶ月の総費用 | 3,858単位 × 10円 | 38,580 円 |
| 自己負担額 (1割) | 38,580円 × 0.1 | 3,858 円 |
ケース2:医療保険を利用(末期がん・週4回・1割負担)
- 利用状況: 末期がんで毎日訪問が必要な方が、週に4回(月16回)の訪問看護を利用。
- 加算: 24時間対応体制加算、特別管理加算Ⅰを算定。
- 自己負担: 75歳以上で1割負担。
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 管理療養費 (月の初回) | 7,670円 × 1回 | 7,670 円 |
| 基本療養費 (週4日以上) | 6,550円 × 16回 | 104,800 円 |
| 24時間対応体制加算 | 6,400円 × 1ヶ月 | 6,400 円 |
| 特別管理加算Ⅰ | 5,000円 × 1ヶ月 | 5,000 円 |
| 1ヶ月の総費用 | 7,670 + 104,800 + 6,400 + 5,000 | 123,870 円 |
| 自己負担額 (1割) | 123,870円 × 0.1 | 12,387 円 |
知らなきゃ損!訪問看護の自己負担額を抑える公的制度
もし訪問看護の利用料が高額になっても、負担を軽減するための公的な制度があります。
これらの制度を知っているかどうかで、家計への影響は大きく変わります。
代表的な制度を必ず確認しておきましょう。
| 制度名 | 概要 | 対象となる保険 |
|---|---|---|
| 高額療養費制度 | 1ヶ月の医療費の自己負担額が、所得に応じた上限額を超えた場合に、超えた分が払い戻される制度。 | 医療保険 |
| 高額介護サービス費 | 1ヶ月の介護サービスの自己負担額が、所得に応じた上限額を超えた場合に、超えた分が払い戻される制度。 | 介護保険 |
| 特定医療費(指定難病)助成制度 | 国が指定する難病の方の医療費の自己負担額に上限が設けられる制度。 | 医療保険 |
| 自立支援医療制度 | 心身の障害を除去・軽減するための医療について、自己負担額を軽減する制度。 | 医療保険 |
これらの制度を利用するには、市区町村の窓口や加入している健康保険組合などへの申請が必要です。
対象になるかどうかわからない場合は、ケアマネージャーや病院のソーシャルワーカーに相談してみましょう。
交通費は?保険適用外(自費)の訪問看護とは
これまで説明してきた料金以外にも、別途費用がかかる場合があります。
代表的なものが、訪問看護ステーションが定める交通費です。
事業所の所在地から自宅までの距離に応じて、1回の訪問あたり数百円程度の実費を請求されることが一般的です。
また、公的保険のルール(利用時間やサービス内容の制限)では対応できないニーズに応えるため、「保険適用外(自費)」の訪問看護サービスを提供する事業者もあります。
例えば、長時間の見守りや通院の付き添い、旅行への同行など、保険ではカバーできないサービスを受けたい場合に利用できます。
| サービスの種類 | 料金の目安 (1時間あたり) | 特徴 |
|---|---|---|
| 公的保険の訪問看護 | 自己負担分のみ | 時間・回数・内容に制限あり |
| 自費の訪問看護 | 8,000~12,000 円程度 | 自由なプランニングが可能だが全額自己負担 |
まとめ:訪問看護の料金不安はケアマネージャーに相談しよう
この記事では、訪問看護の利用料金について、保険の種類の違いから具体的な計算方法、負担を軽減する制度までを解説しました。
最後に、大切なポイントを振り返ります。
- 訪問看護の料金は「医療保険」か「介護保険」かで大きく異なる。
- 料金は「基本料金」+「加算」で構成され、そこから自己負担割合(1~3割)を支払う。
- 自己負担額が高額になった場合、「高額療養費制度」などの公的制度で負担を軽減できる。
- 正確な料金を知るには、個別のケアプランに基づいた見積もりが必要。
様々な情報を解説してきましたが、最も確実で安心なのは、担当のケアマネージャーや利用を検討している訪問看護ステーションに直接相談することです。
この記事で得た知識を元に、「私たちの場合はどちらの保険になりますか?」「この加算は必要ですか?」といった具体的な質問をすれば、よりスムーズに話を進めることができるでしょう。
ひとりで抱え込まず、専門家に相談しながら、ご家族にとって最適な在宅療養の形を見つけてください。
訪問看護の料金はどのくらいかかりますか?
自己負担割合が1割の場合、1回あたりの料金は約400円から1,300円、1ヶ月あたりの料金は約3,200円から10,400円です。
どちらの保険を使えばいいのか、どう判断すればいいですか?
要介護・要支援認定や疾病の種類、年齢に基づき、「医療保険」または「介護保険」どちらが適用されるかの診断を行います。簡単なフローチャートを使って判断することができます。
医療保険と介護保険の違いは何ですか?
医療保険は病気やケガの治療を対象とし、介護保険は日常生活の支援や介護予防を目的としています。対象者や利用回数も異なり、医療保険は比較的短期間の医療行為に、介護保険は長期のケアに適しています。
訪問看護の料金を安く抑える公的制度にはどのようなものがありますか?
高額療養費制度や高額介護サービス費、特定医療費助成制度、自立支援医療制度などがあり、これらを利用することで家計への負担を軽減できます。
訪問看護の費用以外にかかる費用はありますか?
はい、交通費や保険適用外の自費サービスの料金が別途かかる場合があります。交通費は一回ごとに数百円程度、また自費サービスは約8,000円から12,000円程度です。