ご家族のために訪問看護の利用を検討されているのですね。
医師やケアマネジャーから勧められたものの、料金体系が複雑で月々の費用がいくらになるのか見当もつかず、不安に感じていらっしゃるかもしれません。
この記事では、そんなあなたの悩みを解決します。
最新の令和6年度改定に対応した情報で、訪問看護の料金の仕組みから具体的な費用シミュレーション、自己負担を軽くする公的制度まで、専門的な内容をわかりやすく解説します。
この記事を読み終える頃には、ご自身のケースでどれくらいの費用がかかるのかを具体的に把握でき、安心して訪問看護の利用に踏み切れるようになるでしょう。
サービスサイトを詳しく見る【簡単3分】まずは料金シミュレーション!モデルケースで費用感を掴もう
「結局、うちはいくらかかるの?」という疑問にすぐお答えするため、まずは代表的な3つのモデルケースで料金をシミュレーションしてみましょう。
ご自身の状況と近いケースをご覧いただくことで、おおよその費用感を掴むことができます。
※地域単価を1単位10円、自己負担割合は所得に応じて設定しています。
※あくまで簡易的なシミュレーションであり、実際の料金は事業所の加算状況や個別のケアプランによって変動します。
ケース1:【介護保険】要介護3のAさん(週2回・60分利用)の場合
比較的、多くの方が利用される標準的なケースです。
日中の訪問を中心に、緊急時にも対応してもらえる体制を整えています。
| 項目 | 単位数/月 | 備考 |
|---|---|---|
| 基本料金 | 6,568単位 | 821単位/回 × 週2回 × 4週間 |
| 緊急時訪問看護加算 | 574単位 | 24時間連絡がつく体制 |
| 合計単位数 | 7,142単位 | |
| 総費用(10割) | 71,420円 | 7,142単位 × 10円 |
| 自己負担額(1割) | 約7,142円/月 |
ケース2:【医療保険】退院直後で毎日訪問が必要なBさんの場合
病院を退院した直後で状態が不安定なため、医師の「特別訪問看護指示書」により、集中的なケアが必要なケースです。
医療保険が適用され、毎日の訪問が可能になります。
| 項目 | 金額/月 | 備考 |
|---|---|---|
| 訪問看護基本療養費(週3日まで) | 66,600円 | 5,550円/回 × 週3回 × 4週間 |
| 訪問看護基本療養費(週4日目以降) | 104,800円 | 6,550円/回 × 週4回 × 4週間 |
| 24時間対応体制加算 | 6,520円 | |
| 総費用(10割) | 177,920円 | |
| 自己負担額(2割) | 約35,584円/月 | ※高額療養費制度の対象になる可能性あり |
ケース3:【医療保険】末期がんでターミナルケアを受けるCさんの場合
ご自宅での看取りを希望されており、痛みや症状の緩和を中心に、24時間体制で手厚いケアを受けるケースです。
厚生労働大臣が定める疾病等に該当するため、医療保険が適用されます。
| 項目 | 金額/月 | 備考 |
|---|---|---|
| 訪問看護基本療養費(週4日目以降) | 104,800円 | 6,550円/回 × 週4回 × 4週間 |
| 24時間対応体制加算 | 6,520円 | |
| ターミナルケア加算 | 25,000円 | 死亡日および死亡日前14日以内に2回以上訪問 |
| 総費用(10割) | 136,320円 | |
| 自己負担額(1割) | 約13,632円/月 | ※高額療養費制度の対象になる可能性あり |
訪問看護の料金が決まる仕組みとは?基本をわかりやすく解説
シミュレーションで大まかな金額がわかったところで、次に「なぜその金額になるのか」という料金の仕組みを詳しく見ていきましょう。
この仕組みを理解することで、ケアマネジャーや訪問看護ステーションからの見積もりの内容を正しく理解できるようになります。
訪問看護の料金は、主に以下の3つの要素で決まります。
- 適用される保険(介護保険 or 医療保険)
- サービスの基本料金(時間や回数で変動)
- 専門的なケアなどに対する追加料金(加算)
「介護保険」と「医療保険」どっちが適用される?優先順位と違いをチェック
訪問看護では、利用者の状態によって「介護保険」か「医療保険」のどちらを使うかが決まります。
これには明確なルールがあり、基本的には介護保険が優先されます。
| 介護保険が適用される方 | 医療保険が適用される方 | |
|---|---|---|
| 対象者 | – 要支援1〜2 – 要介護1〜5 の認定を受けている方 | – 40歳未満の方 – 40歳〜64歳で特定疾病でない方 – 要介護認定を受けていない方 – 特定の疾病や状態の方 (下記参照) |
| 優先順位 | 原則、こちらが優先 | 要介護認定者でも、以下の場合は医療保険が優先 |
| 特徴 | – ケアプランに基づき利用 – 支給限度額がある | – 医師の指示書が必要 – 原則週3回までだが、例外あり |
【要介護認定者でも医療保険が優先されるケース】
- 末期がん、ALS、パーキンソン病など厚生労働大臣が定める疾病等の方
- 病状が急に悪化した際に交付される「特別訪問看護指示書」の期間中
- 精神科訪問看護が必要な方
料金の内訳は「基本料金+加算」でできている
どちらの保険が適用されるかが決まったら、具体的な料金計算に進みます。
料金は、サービスの土台となる「基本料金」に、必要に応じて様々な「加算」が上乗せされることで算出されます。
介護保険と医療保険では、料金の単位や考え方が少し異なります。
- 介護保険:サービス内容ごとに「単位」が決められており、合計単位に地域単価(約10円〜11.4円)を掛けて計算します。
- 医療保険:サービス内容ごとに「円」で料金が直接決められています。
時間や内容で変わる「基本料金(基本報酬/基本療養費)」
基本料金は、看護師などがご自宅を訪問してケアを提供するための基本的な費用です。
訪問時間や職種によって金額が変わります。
▼介護保険の基本料金(主な例)
| サービス内容 | 看護師等による訪問 |
|---|---|
| 20分未満 | 313単位 |
| 30分未満 | 470単位 |
| 30分以上60分未満 | 821単位 |
| 60分以上90分未満 | 1,126単位 |
▼医療保険の基本料金(主な例)
| サービス内容 | 同一日に1人の利用者 |
|---|---|
| 週3日まで | 5,550円/日 |
| 週4日目以降(特定の利用者) | 6,550円/日 |
| 訪問看護管理療養費(初回) | 7,400円/月 |
専門的なケアや緊急対応でつく「加算」とは?
加算とは、より手厚いサービスや専門的なケアを提供した場合に追加される料金です。
利用者の状態や希望に応じて、様々な種類の加算があります。
▼主な加算項目の例
| 加算名 | 概要 | 金額・単位の目安(月額) |
|---|---|---|
| 緊急時訪問看護加算 (介護保険) | 24時間体制で緊急時の相談や訪問に応じる | 574単位 |
| 24時間対応体制加算 (医療保険) | 24時間体制で緊急時の相談や訪問に応じる | 6,520円 |
| 特別管理加算 (医療・介護共通) | 気管カニューレや点滴など、特別な管理が必要な方 | 医療:5,000円 介護:500単位 |
| ターミナルケア加算 (医療・介護共通) | 在宅での看取りを支援するためのケア | 医療:25,000円 介護:2,000単位 |
| 夜間・早朝、深夜加算 (医療・介護共通) | 通常の時間外(夜間・早朝・深夜)に訪問 | 料金が25%〜100%割増 |
シミュレーションだけでは不十分?正確な費用を知るための3つの注意点
オンラインのシミュレーションは費用感を掴むのにとても便利ですが、それだけで全てがわかるわけではありません。
実際の請求額と異なる場合があるため、以下の3つの点に注意してください。
これらを知っておくことで、「聞いていた話と違う」といったトラブルを防ぐことができます。
注意点1:シミュレーションに表示されない「隠れた費用」
シミュレーションで計算されるのは、主に保険が適用されるサービス料金です。
しかし、実際にはそれ以外にも費用が発生することがあります。
- 交通費:事業所の所在地から遠い場合など、規定に応じて実費請求されることがあります。
- 衛生材料費:特別な処置で使うガーゼや消毒液など、保険適用外の物品代がかかる場合があります。
- 自費サービス:保険の範囲を超える長時間の見守りや、外出の付き添いなどを依頼した場合、全額自己負担となります。
注意点2:必ず確認!「見積書」と「重要事項説明書」のチェックポイント
最も正確な費用を知る方法は、利用を検討している訪問看護ステーションに直接見積もりを依頼することです。
契約前には必ず「重要事項説明書」に目を通し、料金に関する項目をしっかり確認しましょう。
▼確認すべきチェックポイント
| チェック項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 料金体系 | 基本料金や加算の内訳は明確に記載されているか? |
| 交通費 | 請求の有無、計算方法(例:1kmあたり〇円、エリア内は無料など)は? |
| キャンセル料 | いつから、いくら発生するのか? |
| その他実費 | 衛生材料費など、保険外でかかる費用の記載はあるか? |
| 緊急時対応 | 時間外の訪問に追加料金は発生するか? |
まだ諦めないで!自己負担を軽くする公的制度を賢く活用しよう
シミュレーションや見積もりの結果、「思ったより費用が高い…」と感じた方もいるかもしれません。
しかし、日本には医療や介護にかかる自己負担額に上限を設け、家計への負担を軽減する素晴らしい制度があります。
これらの制度を賢く活用すれば、支払う金額を大きく抑えられる可能性があります。
高額療養費制度・高額介護サービス費制度とは?所得に応じた自己負担上限額
医療保険には「高額療養費制度」、介護保険には「高額介護サービス費制度」という仕組みがあります。
これは、1ヶ月の自己負担額が所得に応じて定められた上限額を超えた場合に、超えた分の金額が後から払い戻される制度です。
▼高額療養費制度の自己負担上限額(70歳以上の方の例)
| 適用区分 | 自己負担上限額(月額) |
|---|---|
| 現役並み所得者 | |
| 年収約1,160万円〜 | 252,600円+(医療費-842,000)×1% |
| 年収約770万〜約1,160万円 | 167,400円+(医療費-558,000)×1% |
| 年収約370万〜約770万円 | 80,100円+(医療費-267,000)×1% |
| 一般所得者 | |
| 年収約156万〜約370万円 | 18,000円(年間上限144,000円) |
| 住民税非課税世帯 | |
| Ⅱ | 8,000円 |
| Ⅰ | 8,000円 |
▼高額介護サービス費の自己負担上限額(月額)
| 適用区分 | 自己負担上限額(月額) |
|---|---|
| 現役並み所得者 | 44,400円〜140,100円 |
| 一般所得者 | 44,400円 |
| 住民税非課税世帯 | 15,000円〜24,600円 |
これらの制度の申請方法など、詳しいことはお住まいの市区町村の窓口やケアマネジャーに相談してみてください。
まとめ:料金の不安を解消し、安心して訪問看護を始めるために
訪問看護の料金は一見複雑に思えますが、仕組みを一つずつ理解すれば、決して難しいものではありません。
大切なのは、ご自身の状況を正しく把握し、適切な情報を得ることです。
この記事のポイントを最後にもう一度おさらいしましょう。
- まずはシミュレーションで相場観を掴む:モデルケースを参考に、おおよその費用をイメージする。
- 料金の仕組みを理解する:「保険の種類」「基本料金」「加算」の3要素が基本。
- 必ず事業者から見積書をもらう:シミュレーションには含まれない費用もあるため、書面での確認が不可欠。
- 公的制度を積極的に活用する:高額療養費制度などで、自己負担は大きく軽減できる可能性がある。
料金への不安が解消されれば、あとは安心してご家族に最適なケアを選択するだけです。
まずは担当のケアマネジャーや地域包括支援センターに相談し、ご自身の希望を伝えながら、最適な訪問看護ステーションを探してみてください。
訪問看護の料金はどのように決まるのですか?
訪問看護の料金は、保険の種類、サービスの基本料金、そして加算などの追加料金によって決まります。
「介護保険」と「医療保険」のどちらが適用されるのですか?
一般的には、要支援・要介護の認定を受けている場合は介護保険が優先されますが、末期がんや特定疾病のケースでは医療保険が適用される場合もあります。
訪問看護の料金シミュレーションで見積もりだけでは不十分な理由は何ですか?
シミュレーションはあくまで概算であり、実際の費用には交通費や衛生材料費などの追加費用や、個別のケースによる変動要素が含まれていないためです。
訪問看護の費用を正確に知るためにどんな点に注意すればよいですか?
見積書や重要事項説明書を事前に確認し、料金体系、交通費、キャンセル料、緊急時料金などの詳細を確認することが重要です。
訪問看護の自己負担を軽減する公的制度にはどのようなものがありますか?
高額療養費制度や高額介護サービス費制度などがあり、これらを利用すれば、一定の自己負担額を超えた分が後から払い戻される仕組みがあります。