訪問看護ステーションの業務に携わる中で、「このケースの単位数は何単位だっけ?」「新しい加算の要件は何だったかな?」と、複雑な単位数計算や頻繁な制度改定に頭を悩ませていませんか。
特に2024年度の介護報酬改定では、基本報酬の変更や新しい加算・減算が導入され、正確な情報の把握がこれまで以上に重要になっています。
請求ミスは事業所の収益に直結するだけでなく、利用者様やケアマネージャーとの信頼関係にも影響しかねません。
この記事では、2024年度の最新情報に基づいた訪問看護の単位数を、早見表形式で分かりやすく解説します。
基本単位はもちろん、算定漏れしやすい加算や返戻リスクのある減算、実務で迷いがちな特殊ケースまで網羅的にご紹介します。
この記事を読めば、日々のレセプト業務やケアプラン作成に自信が持てるようになり、ミスなくスムーズに業務を進めることができるでしょう。
そもそも訪問看護の「単位」とは?料金計算の基本を解説
訪問看護の料金を理解する上で、まず基本となるのが「単位」という考え方です。
介護保険サービスでは、提供されるサービスの一つひとつに、国が定めた公定価格として「単位数」が設定されています。
これは、全国で提供される介護サービスの価値を公平に評価するための仕組みです。
ただし、1単位あたりの金額は全国一律ではありません。
地域によって人件費や物価が異なるため、「地域区分」という制度が設けられています。
これにより、1単位あたりの単価は、地域ごとに11.40円から10.00円まで8段階で設定されています。
そのため、同じサービスを提供しても、事業所の所在地によって最終的な請求額は変動するのです。
単位から自己負担額を計算する仕組み【具体例付き】
実際に利用者様へ請求する金額は、単位数に地域区分単価を掛け合わせることで算出されます。
具体的な計算式は以下の通りです。
(基本報酬単位 + 各種加算単位 - 各種減算単位) × 地域区分単価 = 請求額
そして、この請求額に利用者様の負担割合(所得に応じて1割〜3割)を掛けることで、最終的な自己負担額が決定します。
それでは、インプット情報にもあった具体的なモデルケースで計算してみましょう。
【計算例】
要介護3のAさんが、1級地(単価11.40円)の事業所から月4回(30分以上1時間未満)の訪問看護を利用し、初回加算(Ⅱ)と緊急時訪問看護加算(Ⅰ)が適用された場合(自己負担1割)
- 基本報酬: 823単位 × 4回 = 3,292単位
- 初回加算(Ⅱ): 300単位 × 1回 = 300単位
- 緊急時訪問看護加算(Ⅰ): 600単位 × 1回 = 600単位
- 合計単位数: 3,292 + 300 + 600 = 4,192単位
- 請求額(10割分): 4,192単位 × 11.40円/単位 = 47,788.8円 → 47,789円(小数点以下切り上げ)
- 自己負担額(1割): 47,789円 × 0.1 = 4,778.9円 → 4,779円(小数点以下切り上げ)
【2026年度最新】訪問看護の基本単位数 早見表
2024年度(令和6年度)の介護報酬改定により、訪問看護の基本報酬単位数が全体的に引き上げられました。
これは、物価高騰や人材確保の必要性などを踏まえた措置です。
ここでは、最新の単位数を事業所の種別ごとに一覧でご紹介します。
日々の業務で単位数を確認する際にご活用ください。
訪問看護ステーションの基本単位数(サービス提供時間・内容別)
訪問看護ステーションからサービスを提供する場合の単位数は、以下の通りです。
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士による訪問は、1回20分以上の訪問を2回まで行った場合に算定できます。
| サービス提供時間 | 看護師等(2024年度改定後) | 改定前からの増減 | 理学療法士等(2024年度改定後) | 改定前からの増減 |
|---|---|---|---|---|
| 20分未満 | 314単位 | +1単位 | 294単位 | +1単位 |
| 30分未満 | 471単位 | +1単位 | 294単位 | +1単位 |
| 30分以上1時間未満 | 823単位 | +2単位 | 294単位 | +1単位 |
| 1時間以上1時間30分未満 | 1,128単位 | +3単位 | 294単位 | +1単位 |
病院・診療所の基本単位数(サービス提供時間別)
病院や診療所から訪問看護を提供する場合の単位数は、ステーションとは別に定められています。
こちらも2024年度の改定で単位数が引き上げられました。
| サービス提供時間 | 単位数(2024年度改定後) | 改定前からの増減 |
|---|---|---|
| 20分未満 | 266単位 | +1単位 |
| 30分未満 | 399単位 | +1単位 |
| 30分以上1時間未満 | 574単位 | +1単位 |
| 1時間以上1時間30分未満 | 844単位 | +2単位 |
請求漏れを防ぐ!主要な加算単位数と算定要件一覧
訪問看護の収益を安定させる上で、各種加算を漏れなく算定することは非常に重要です。
加算は、専門的なケアの提供や24時間対応体制の構築など、質の高いサービスを提供する事業所を評価するために設けられています。
2024年度の改定では、在宅移行の支援や多職種連携を評価する新しい加算も導入されました。
ここでは、主要な加算の単位数と算定要件を分かりやすく整理してご紹介します。
専門性の高いケアや緊急時対応を評価する加算
利用者の状態に応じた専門的なケアや、緊急時の迅速な対応は、在宅療養を支える上で不可欠です。
これらの取り組みを評価するための加算は、事業所の専門性を示す指標にもなります。
| 加算の種類 | 単位数(2024年度改定後) | 目的 | 算定要件のポイント |
|---|---|---|---|
| 専門管理加算 | 250単位/月 | 医療ニーズの高い利用者への専門的ケア評価 | 緩和ケア、褥瘡ケア等の専門研修を修了した看護師などが計画的に管理を行う。 |
| 初回加算(Ⅰ) | 350単位/月 | 新規利用者の円滑な在宅移行支援(退院当日) | 新規計画作成に加え、病院等からの退院当日に訪問看護を実施する。 |
| 初回加算(Ⅱ) | 300単位/月 | 新規利用者の円滑な在宅移行支援 | 新規計画作成に加え、退院日の翌日以降に初回訪問を実施する。 |
| 緊急時訪問看護加算(Ⅰ) | 600単位/月 | 24時間対応体制の強化評価 | 利用者からの連絡に24時間対応できる体制を整備し、緊急時訪問の業務管理を行う。 |
| ターミナルケア加算 | 2,500単位/死亡月 | 終末期における質の高いケア評価 | 死亡日および死亡前14日以内に2日以上、ターミナルケアを実施する。 |
連携や体制強化、DX推進を評価する加算
近年の報酬改定では、地域包括ケアシステムの推進を背景に、多職種連携や事業所の体制強化を評価する傾向が強まっています。
また、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進も新たな評価項目として加わりました。
| 加算の種類 | 単位数(2024年度改定後) | 目的 | 算定要件のポイント |
|---|---|---|---|
| 口腔連携強化加算 | 50単位/回(月1回) | 歯科専門職との連携による口腔管理評価 | 口腔状態の評価、歯科医療機関やケアマネへの情報提供、連携体制の確保。 |
| 処遇改善加算(訪問看護) | 1.8%(新設) | 介護職員等の賃金改善、人材確保 | 別途定められるキャリアパス要件等を満たし、賃金改善計画を策定・届出する。 |
| 訪問看護医療DX情報活用加算 | 50円/月 | オンライン資格確認等による情報活用評価 | 電子請求、電子資格確認体制の整備、DX推進体制のウェブサイト等への掲載。 |
返戻リスクを回避!知っておくべき減算の種類と要件
加算による収益増を目指す一方で、減算による報酬の減額は避けなければなりません。
減算は、サービスの質の低下や不適切な事業運営を防ぐために設けられています。
特に2024年度改定では、事業所の運営体制そのものを問う新たな減算が導入されました。
返戻のリスクを回避するためにも、これらの要件を正しく理解しておくことが不可欠です。
| 減算の種類 | 減算率 | 目的・背景 | 対応のポイント |
|---|---|---|---|
| リハビリ専門職の訪問回数超過減算 | -8単位/回 | 看護職員による訪問の優先順位付け | 前年度の理学療法士等による訪問回数が、看護職員の総訪問回数を超過した場合などに適用。 |
| 業務継続計画未策定減算 | 所定単位数の-1/100 | 感染症・災害時のサービス継続体制確保 | 業務継続計画(BCP)を未策定の場合に適用(2025年4月1日より適用)。 |
| 高齢者虐待防止措置未実施減算 | 所定単位数の-1/100 | 高齢者虐待防止の推進 | 虐待防止委員会の未開催、指針の未整備、研修の未実施などが該当。 |
実務で迷わない!特殊なケースの単位数算定ルール
訪問看護の実務では、基本単位や加算・減算だけでは判断に迷う特殊なケースに遭遇することがあります。
例えば、一日に複数回訪問する場合や、短時間の訪問を行う場合などです。
これらのルールを誤って解釈すると、過誤請求や返戻につながる可能性があります。
ここでは、現場で特に注意すべき算定ルールについて解説します。
「2時間ルール」とは?同一日に複数回訪問する場合の注意点
介護保険を利用した訪問看護では、同一の利用者様に一日に複数回訪問する場合、原則として前回の訪問から2時間以上の間隔を空ける必要があります。
これは「2時間ルール」と呼ばれています。
もし間隔が2時間未満の場合は、複数回の訪問時間を合算し、1回のサービスとして単位数を算定しなければなりません。
ただし、利用者様の状態によっては、このルールの例外が認められています。
以下のようなケースでは、2時間未満の間隔でもそれぞれの訪問を1回として算定することが可能です。
- 利用者様の状態が急変し、緊急の訪問が必要になった場合
- 特別管理加算の対象となっている利用者様への訪問
- 計画に基づき、看護師とリハビリ専門職など、異なる職種が続けて訪問する場合
- 1回の訪問が20分未満の短時間訪問である場合
20分未満の訪問が算定できる条件とポイント
訪問看護の基本は20分以上のサービス提供ですが、点滴の実施や褥瘡の処置など、短時間で完了するケアが必要な場合もあります。
このようなニーズに対応するため、例外的に20分未満の訪問が認められています。
ただし、この短時間訪問を算定するには、以下の全ての条件を満たす必要があります。
- 事業所が「緊急時訪問看護加算」の届出を行っていること
- 利用者様の状態から、20分未満の訪問が週1回以上必要であると認められること
- 週に1回以上、保健師または看護師による20分以上の訪問看護が提供されていること
これらの条件を満たした上で、なぜ20分未満の訪問が必要なのかを、訪問看護計画書や報告書に明確に記載しておくことが、適正な請求を行う上で非常に重要です。
最新動向をキャッチアップ!2024年度・2026年度報酬改定の影響
訪問看護事業を継続していくためには、3年ごとに行われる報酬改定の動向を常に把握しておくことが不可欠です。
2024年度の改定では、基本報酬の引き上げや各種加算の新設が行われ、事業運営に直接的な影響を与えています。
特に、医療DXや多職種連携を評価する加算は、今後の訪問看護に求められる方向性を示唆していると言えるでしょう。
さらに、次の改定となる2026年度に向けても、すでに大きな動きが見られます。
最大の焦点は、医療・介護従事者の処遇改善、つまり「賃上げ」です。
深刻化する人材不足に対応するため、国は報酬改定を通じて賃上げ原資を確保する方針を明確にしています。
2026年6月以降には、介護報酬全体で+2.03%の引き上げが予定されており、訪問看護においても1.8%の処遇改善加算が新設される見込みです。
これらの財源を確実に職員の賃金に反映させることが、今後の人材確保と定着の鍵となります。
事業所の経営者は、これらの動向を踏まえ、中長期的な視点での事業計画や採用戦略を立てていくことが求められます。
まとめ:正確な単位数把握で、質の高いケアと安定経営を実現しよう
この記事では、2024年度の最新情報に基づき、訪問看護の単位数について網羅的に解説しました。
訪問看護の単位数算定は、基本報酬に加えて多様な加算・減算があり、非常に複雑です。
しかし、これらのルールを一つひとつ正確に理解し、日々の業務に反映させることが不可欠です。
最新の単位数や算定要件を把握することは、単に正しいレセプト請求を行うためだけではありません。
それは、質の高いケアを提供する事業所が適切に評価されるための仕組みであり、ひいては利用者様の満足度向上や職員の処遇改善、そして事業所の安定した経営基盤の構築へと繋がっていきます。
本記事の早見表や解説が、皆様の業務の一助となり、質の高いケアと安定経営の実現に貢献できれば幸いです。
訪問看護の単位数とは何ですか?
訪問看護の単位数は、サービスの内容や時間に基づき、介護報酬を計算するための基本的な基準です。これにより、公正な料金設定と支払いが行われます。
地域区分による単価の違いはどう影響しますか?
地域区分によって単価が異なるため、同じサービスでも提供地域によって請求額が変動します。これにより、人件費や物価に応じた公平な料金調整が可能となっています。
基本単位数の計算例を教えてください。
利用者Aさんが月4回の訪問看護を利用し、基本報酬単位と加算を加えた合計単位数に地域区分単価を掛けて算出します。例えば、合計4,192単位 × 11.40円/単位で、請求額を求めることができます。
2024年度の訪問看護の単位数はどうなっていますか?
2024年度の改定により、訪問看護の基本単位数は全体的に引き上げられ、サービス提供時間や内容別に新しい単位数が設定されています。
加算や減算の主な種類と算定要件は何ですか?
加算には専門性の高いケアや緊急対応、体制強化などがあり、それぞれの算定要件を満たす必要があります。一方、減算はサービスの質や運営体制の不備により適用され、適切な対応が求められます。