「ターミナルケア加算の請求、本当にこれで合っているだろうか?」
「2024年の制度改定で何が変わったのか、正確な情報が知りたい」
「請求ミスで返戻になったらどうしよう…」
訪問看護ステーションで働く中で、このような不安を感じたことはありませんか。
特にターミナルケア加算は、算定要件が複雑で、医療保険と介護保険の違いもあり、自信を持って請求するのが難しいと感じる方も多いはずです。
ご安心ください。
この記事では、訪問看護のターミナルケア加算について、2024年度の最新情報に基づき、専門外の方でも分かるように徹底解説します。
算定要件を網羅したチェックリストや、医療保険と介護保険の違いがひと目でわかる比較表、実務で迷いがちなポイントをまとめたQ&Aなど、すぐに現場で役立つ情報を詰め込みました。
この記事を最後まで読めば、ターミナルケア加算に関する疑問や不安が解消され、自信を持って適切な請求ができるようになります。
訪問看護の加算一覧については以下の記事もご覧ください。
訪問看護のターミナルケア加算とは?【2024年度改定の重要ポイント】
訪問看護のターミナルケア加算は、終末期の利用者様が住み慣れた自宅で安心して最期を迎えられるよう、質の高いケアを提供した訪問看護ステーションを評価する制度です。
この加算の目的は、単に延命を目指すのではなく、利用者様の身体的・精神的な苦痛を和らげ、生活の質(QOL)を最大限に高めることにあります。
また、ご家族への支援も含め、在宅での穏やかな看取りを包括的に支える重要な役割を担っています [6]。
そして、2024年度(令和6年度)の介護報酬改定で、この加算に重要な変更がありました。
介護保険のターミナルケア加算が、従来の 2,000単位 から 2,500単位 へと大幅に引き上げられたのです。
これは、医療保険における同様の評価(訪問看護ターミナルケア療養費:25,000円)との整合性を図るための改定です [2]。
この変更は、国として在宅での看取りをさらに推進し、終末期ケアの重要性を高く評価していることの表れといえるでしょう。
【介護保険】ターミナルケア加算の算定要件をチェックリストで確認
介護保険でターミナルケア加算を算定するには、いくつかの厳格な要件を満たす必要があります。
これらは単なる事務手続きではなく、質の高いケアを保証するための大切な基準です。
請求前に必ず確認できるよう、チェックリスト形式で4つの主要な要件を解説します。
- 要件①:24時間対応体制の整備
- 要件②:対象者と死亡日前後の訪問実績
- 要件③:主治医との連携・計画策定と同意の取得
- 要件④:ターミナルケアの過程に関する適切な記録
要件①:24時間対応体制の整備
まず大前提として、利用者様やご家族から24時間いつでも連絡を受け付け、必要に応じて訪問看護を提供できる体制が整備されている必要があります。
具体的には、「緊急時訪問看護加算」の届出を行っていることが求められます。
終末期はいつ状態が急変するかわかりません。
夜間や早朝でも不安な時にいつでも相談・対応してもらえる体制は、利用者様とご家族の大きな安心につながります [3]。
要件②:対象者と死亡日前後の訪問実績
ターミナルケア加算の対象者は「要介護者」であり、「要支援者」は対象外となるため注意が必要です。
その上で、算定の核心となるのが、死亡日前後の訪問実績です。
原則と例外があるため、下の表でしっかり確認しましょう。
| ケース | 訪問実績の要件 | 備考 |
|---|---|---|
| 原則 | 死亡日および死亡日前 14日以内 に、合計 2日以上 ターミナルケアを実施していること。 | 訪問は24時間体制で行われる必要があります。 |
| 例外 | 末期の悪性腫瘍や厚生労働大臣が定める特定の状態の利用者の場合、1日以上 の実施で算定可能です。 | この柔軟な対応は、個々の病状の進行度を考慮したものです。 |
要件③:主治医との連携・計画策定と同意の取得
ターミナルケアは、訪問看護ステーション単独で行うものではありません。
必ず主治医と密に連携を取り、ターミナルケアに関する計画を策定する必要があります。
そして、その計画内容や支援体制について、利用者様本人およびご家族に丁寧に説明し、書面などで同意を得ることが必須です。
この同意取得のプロセスは、利用者様の意思を尊重し、穏やかな最期を共に作り上げるための大切な対話となります [9]。
要件④:ターミナルケアの過程に関する適切な記録
算定の根拠として、適切な看護記録を残すことは極めて重要です。
監査などで指摘を受けないためにも、以下の内容を訪問看護記録書に明確に記載しましょう。
- 終末期の身体症状の変化
- 利用者様およびご家族の精神的な状態の変化
- 苦痛緩和のためのケア内容とその評価
- 看取りを含めたターミナルケアに関する意向の確認と、それに対する対応の経過
- 主治医や他のサービス事業者との連携状況
これらの記録は、ケアの質を証明し、多職種間での情報共有を円滑にするための要となります。
【医療保険】「訪問看護ターミナルケア療養費」との違いを比較解説
ターミナルケアの評価は介護保険だけでなく、医療保険にも存在します。
しかし、名称や対象者、金額などが異なるため、混同しないよう注意が必要です。
医療保険では「訪問看護ターミナルケア療養費」と呼ばれ、主に介護保険の対象とならない方や、厚生労働大臣が定める特定の疾病等を持つ方が対象となります。
両者の違いを下の表にまとめましたので、利用者の状況に応じてどちらを適用すべきか判断する際にお役立てください [8]。
| 項目 | 介護保険 | 医療保険 |
|---|---|---|
| 名称 | ターミナルケア加算 | 訪問看護ターミナルケア療養費 |
| 金額/単位数 | 2,500単位/月 | 25,000円/月 |
| 主な対象者 | 要介護認定を受けている利用者 | – 介護保険の対象外の利用者 – 厚生労働大臣が定める疾病等の利用者 |
| 算定のタイミング | 死亡月に1回算定 | 死亡月に1回算定 |
| 備考 | 原則として1つのステーションのみ算定可能 | 遠隔死亡診断補助加算など、特有の加算がある |
実務で迷わない!算定・請求のポイントと注意点(Q&A)
ここまで算定要件や保険制度の違いを見てきましたが、実際の業務ではさらに細かい点で迷うことも少なくありません。
ここでは、現場のスタッフからよく寄せられる質問をもとに、同意書、看護記録、関連加算の3つのテーマについてQ&A形式で解説します。
請求ミスを防ぎ、業務を効率化するためのヒントが満載です。
【同意書】利用者・家族への説明と同意取得の重要性
Q. ターミナルケア加算の算定に、同意書は必ず必要ですか?決まった書式はありますか?
A. 法律で定められた統一の書式はありません。
しかし、算定要件に「利用者・家族への説明と同意」が含まれているため、口頭だけでなく書面で同意を得ておくことを強く推奨します。
書面で残すことで、説明責任を果たしたことの明確な記録となり、後のトラブルを防ぐことができます。
同意書には、少なくとも以下の項目を含めるとよいでしょう。
- ターミナルケア計画の概要
- 24時間対応体制について
- 在宅での看取りに関する意向
- 利用者および家族の署名・捺印
【看護記録】監査で指摘されないための記載内容とは
Q. 監査で指摘されないためには、看護記録にどのようなことを書けばよいですか?
A. 算定要件を満たしていることが客観的にわかる記録が重要です。
単に「バイタル測定」「清拭実施」といったケア内容の羅列ではなく、以下の視点を意識して記載しましょう。
- 客観的な事実: 利用者の具体的な言動、症状の変化、実施したケア内容などを時系列で記録します。
- アセスメント: なぜそのケアが必要だと判断したのか、ケアの結果どうなったのか、という看護師の専門的な視点からの評価や考察を記載します。
- 利用者・家族の意向: 意思決定支援のプロセスや、その時々の思い、希望などを丁寧に記録します。
- 多職種連携: 主治医やケアマネジャーとどのような情報を共有し、方針を決定したのかがわかるように記載します。
【関連加算】緊急時訪問看護加算や特別管理加算との関係
Q. ターミナルケアを行う利用者様には、他にどのような加算が算定できますか?
A. 終末期の利用者様には、ターミナルケア加算以外にも、状態に応じて算定できる加算が複数あります。
これらを適切に組み合わせることで、手厚いケアを提供するとともに、ステーションの適正な収益確保にも繋がります。
代表的な関連加算を下の表にまとめました。
| 加算名 | 概要 | ターミナルケアとの関連性 | 単位数/金額の例 |
|---|---|---|---|
| 緊急時訪問看護加算 (24時間対応体制加算) | 24時間連絡・対応できる体制を評価。 | ターミナルケア加算の算定要件の前提となる。 | 介護:574単位/月 医療:6,520円/月など |
| 特別管理加算 | 留置カテーテル管理や褥瘡など、特別な管理が必要な利用者を評価。 | 終末期には医療的処置が必要なケースが多く、対象となりやすい。 | 介護:Ⅰ 500単位/月 医療:Ⅰ 5,000円/月 |
| 夜間・早朝/深夜訪問看護加算 | 通常の時間帯以外(夜間・早朝・深夜)の訪問を評価。 | 症状が不安定になりがちな終末期には、時間外の緊急訪問が増えるため算定機会が多い。 | 医療:夜間・早朝 2,100円/回 深夜 4,200円/回 など |
まとめ:適切な算定でステーション経営と質の高いケアを両立
訪問看護におけるターミナルケア加算は、利用者様が住み慣れた場所で尊厳ある最期を迎えるために不可欠な制度です。
2024年度の報酬改定により、その重要性はさらに高まりました。
この記事で解説したポイントを改めて確認しましょう。
- 2024年度改定: 介護保険の単位数が2,500単位に増額され、在宅での看取りが一層評価されるようになった。
- 算定要件の遵守: 「24時間体制」「訪問実績」「計画と同意」「適切な記録」の4つの要件を確実に満たすことが重要。
- 保険制度の理解: 介護保険と医療保険の違いを正確に把握し、利用者に合わせて適切に請求する必要がある。
- 記録と連携の徹底: 質の高いケアの証明と監査対策のため、客観的で丁寧な記録と多職種連携が欠かせない。
複雑な算定ルールを正しく理解し、遵守することは、請求ミスによる返戻や監査での指摘リスクを回避し、ステーションの健全な経営を守ります。
そして何よりも、利用者様とご家族に寄り添い、質の高い終末期ケアを提供するための基盤となります。
本記事が、皆様の日常業務の一助となれば幸いです。
ターミナルケア加算とは何ですか?【2024年度改定の重要ポイント】
訪問看護のターミナルケア加算は、終末期の利用者が住み慣れた自宅で最期を迎えられるよう支援する制度であり、その質の高さを評価するものです。2024年度の改定により、介護保険の単位数が引き上げられ、在宅での看取りの推進が図られています。
介護保険のターミナルケア加算を算定するための要件は何ですか?
介護保険のターミナルケア加算を算定するには、24時間対応体制の整備、死亡日前後の訪問実績、主治医との連携と合意取得、そしてターミナルケアの過程に関する適切な記録という4つの厳格な要件を満たす必要があります。
ターミナルケア加算の請求において、同意書は必要ですか?また、書式は決まっていますか?
法律で統一された書式はありませんが、「利用者・家族への説明と同意」が必要なため、書面で同意を得ることを推奨します。内容には、計画の概要、体制、在宅看取りの意向、署名・捺印を含めると良いでしょう。
看護記録を適切に残すために注意すべきことは何ですか?
監査で指摘されないためには、利用者の症状や言動、ケアの内容を時系列で記録し、専門的な評価や利用者・家族の意向、多職種との連携状況も詳細に記載することが重要です。
医療保険の訪問看護ターミナルケア療養費との違いは何ですか?
医療保険の訪問看護ターミナルケア療養費は、主に介護保険の対象外の患者や特定疾病の患者を対象とし、金額は25,000円/月です。名称や対象者、算定のタイミングも異なりますので、利用者の状況に応じて適切に選択する必要があります。