親の介護が必要になったとき、「訪問看護」と「訪問介護」という言葉を耳にすることが増えます。
名前は似ていますが、実はサービス内容も目的も全く異なるものです。
「うちの場合は、どちらを使えばいいの?」
「両方同時に頼むことはできる?」
「費用はどれくらいかかるんだろう…」
介護が初めての方なら、こうした疑問や不安を感じるのは当然のことです。
この記事では、そんなあなたのために、訪問看護と訪問介護の基本的な違いから、家族の状況に合わせたサービスの選び方、費用や保険の仕組み、そして損をしないための注意点まで、専門用語を避けながら分かりやすく解説します。
この記事を読めば、大切な家族に最適な在宅ケアを見つけるための、確かな知識が身につくはずです。
【比較表】一目でわかる!訪問看護と訪問介護の5つの違い
まずは、訪問看護と訪問介護の最も大きな違いを比較表で確認しましょう。
細かなサービス内容は後ほど詳しく解説しますが、まずはこの5つのポイントを押さえるだけで、全体像が掴みやすくなります。
| 比較項目 | 訪問看護 | 訪問介護 |
|---|---|---|
| ① 目的 | 療養上の世話と診療の補助 | 日常生活の支援と身体機能の維持・向上 |
| ② サービス内容 | 医療行為(点滴、褥瘡ケアなど)、健康管理、リハビリ | 生活援助(調理、掃除など)、身体介護(入浴、排泄介助など) |
| ③ 資格を持つ人 | 看護師、理学療法士などの医療専門職 | ホームヘルパー(介護福祉士など)の介護専門職 |
| ④ 根拠となる法律 | 介護保険法、健康保険法など | 主に介護保険法 |
| ⑤ 利用できる保険 | 医療保険 または 介護保険 | 原則として介護保険 |
このように、訪問看護は「医療」、訪問介護は「生活」を中心にサポートするサービスであることが分かります。
訪問看護とは?医療のプロが自宅で療養生活を支える
訪問看護は、病気や障害によって療養生活を送っている方のご自宅に、看護師などの医療専門職が訪問するサービスです。
その目的は、病状の悪化を防いだり回復を促したりすることで、利用者が住み慣れた家で安心して過ごせるよう支援することにあります。
利用するには、かかりつけ医による「訪問看護指示書」が必要となり、医療的な観点からのサポートが中心となります。
主なサービス内容:病状管理からリハビリ、ターミナルケアまで
訪問看護では、医師の指示に基づき、専門的な医療ケアを提供します。
具体的には、以下のようなサービスが受けられます。
- 健康状態の観察:血圧・体温・脈拍などのバイタルサイン測定、病状のチェック
- 医療処置:点滴、注射、インスリン注射、褥瘡(床ずれ)の予防・処置、カテーテルの管理など
- 医療機器の管理:在宅酸素、人工呼吸器などの管理
- 服薬管理:薬の飲み方の指導、副作用の確認
- リハビリテーション:理学療法士や作業療法士などによる、身体機能の回復を目的とした訓練
- ターミナルケア:がん末期や終末期における痛みの緩和ケア、看取りの支援
- 家族への支援・相談:介護方法の指導、療養生活に関する相談対応
利用できる人:病気や障害があり、医師が訪問看護を必要と判断した方
訪問看護は、年齢にかかわらず、病気や障害などによりご自宅での療養が必要で、主治医がその必要性を認めた方が対象となります。
そのため、利用を開始する際は、まず主治医に相談し「訪問看護指示書」を発行してもらう必要があります。
介護保険の要介護認定を受けている方は介護保険で、それ以外の方や特定の疾患を持つ方は医療保険でサービスを利用します。
訪問介護とは?日常生活に寄り添う心強いパートナー
訪問介護は、利用者が可能な限り自立した日常生活を送れるよう、ホームヘルパー(訪問介護員)が自宅を訪問して支援するサービスです。
訪問看護とは異なり、医療行為は原則として行えません。
その代わりに、食事や入浴といった身体的なサポートから、調理や掃除といった家事の援助まで、生活全般にわたる「お手伝い」が中心となります。
主なサービス内容:「身体介護」と「生活援助」の2種類
訪問介護のサービスは、大きく2つに分けられます。
- 身体介護
利用者の身体に直接触れて行う介助です。- 食事の介助
- 入浴の介助(全身浴、清拭)
- 排泄の介助(トイレへの誘導、おむつ交換)
- 着替えの介助
- 体位変換、移乗・移動の介助
- 生活援助
身体介護以外の、日常生活を送る上で必要な家事などを支援します。- 調理
- 洗濯、掃除
- 生活必需品の買い物
- 薬の受け取り
注意点として、生活援助はあくまで利用者本人のための支援です。
そのため、同居する家族のための調理や、ペットの世話、庭の草むしりといったサービスは介護保険の対象外となります。
利用できる人:要介護1〜5または要支援1・2の認定を受けた方
訪問介護を利用するには、原則として市区町村から「要介護1~5」または「要支援1・2」のいずれかの認定を受けている必要があります。
サービスを利用する前には、ケアマネージャーが利用者の状況に合わせたケアプランを作成し、その計画に基づいてサービスが提供される流れとなります。
費用はどのくらい?介護保険と医療保険の仕組み
在宅サービスを利用する上で、費用は最も気になる点の一つでしょう。
訪問看護と訪問介護の自己負担額は、原則としてサービス料金の1割(所得に応じて2割または3割)です。
どちらのサービスも、利用する保険の種類や、サービス内容・利用時間によって料金が変動する仕組みになっています。
訪問看護の費用については以下の記事も併せてご覧ください。
【訪問看護】料金の目安|介護保険と医療保険で異なる
訪問看護の料金は、利用する保険によって計算方法が異なります。
介護保険が適用される場合は「時間」、医療保険が適用される場合は「回数」が基本となります。
介護保険を利用する場合(1回あたりの自己負担額目安)
| サービス提供者 | 20分未満 | 30分未満 | 30分~1時間未満 | 1時間~1時間半未満 |
|---|---|---|---|---|
| 訪問看護ステーション | 約 318 円 | 約 474 円 | 約 834 円 | 約 1,145 円 |
| 病院・診療所 | 約 269 円 | 約 401 円 | 約 581 円 | 約 847 円 |
医療保険を利用する場合
医療保険では、週3回までの訪問が基本です。
自己負担額は年齢や所得によって異なりますが、1回あたり555円~数千円程度が目安となります。
また、利用者の状況に応じて、以下のような追加料金(加算)が発生することがあります。
- 緊急時訪問看護加算:急な体調変化などで計画外の訪問を依頼した場合 1
- 長時間訪問看護加算:重度の方向けに1時間半以上の訪問を行った場合 2
- 深夜・早朝加算:午後10時~午前6時は50%、午前6時~8時・午後6時~10時は25%割増 3
【訪問介護】料金の目安|身体介護か生活援助かで変わる
訪問介護の料金は、介護保険の単位数に基づいて決まります。
サービス内容と時間によって、以下のように料金が異なります。
| サービス内容 | 利用時間 | 自己負担額(1割)の目安 |
|---|---|---|
| 身体介護 | 20分未満 | 約 169 円 |
| 20分以上30分未満 | 約 254 円 | |
| 30分以上1時間未満 | 約 402 円 | |
| 生活援助 | 20分以上45分未満 | 約 186 円 |
| 45分以上 | 約 229 円 |
※上記は基本的な料金であり、早朝・夜間・深夜の利用や事業所の体制によって料金が加算されます。
経済的負担を軽くするために知っておきたい制度
介護費用は家計にとって大きな負担になり得ます。
しかし、自己負担額を軽減できる公的な制度があることを知っておきましょう。
- 高額介護サービス費制度:1ヶ月の自己負担額の合計が上限額を超えた場合、超えた分が払い戻される制度です。
- 医療費控除:訪問看護の費用など、支払った医療費が一定額を超える場合、確定申告をすることで所得税や住民税が軽減される制度です。
これらの制度はご自身で申請する必要があるため、ケアマネージャーや市区町村の窓口に確認してみましょう。
訪問看護と訪問介護の賢い使い方|併用の可否と注意点
「医療的なケアも必要だけど、日中の身の回りの手伝いもお願いしたい」
このような場合、訪問看護と訪問介護を組み合わせて利用することで、より手厚く、切れ目のない在宅ケアを実現できます。
結論:併用は可能!ケアマネージャーへの相談が鍵
結論から言うと、訪問看護と訪問介護は、医師やケアマネージャーが必要と判断すれば併用できます。
例えば、「週に1回は看護師に健康状態をチェックしてもらい、平日の昼間はホームヘルパーに調理と食事の介助をお願いする」といった利用が可能です。
どのようなサービスを、どのくらいの頻度で組み合わせるのが最適かは、利用者の心身の状態や家族の状況によって異なります。
在宅ケアの司令塔であるケアマネージャーは、利用者と家族の希望を聞きながら、最適なサービスを組み合わせたケアプランを作成してくれます。
まずは担当のケアマネージャーに現状を詳しく相談することが、最適なケアプランへの第一歩です。4 5
知らないと損?注意すべき「訪問介護の2時間ルール」とは
訪問介護を併用する際に、知っておきたい専門的なルールが「2時間ルール」です。
これは、同じ事業所から訪問介護サービスを受ける際、サービス提供の間隔が2時間未満の場合、それらを1回のサービスとみなして料金を計算するというルールです。
例えば、「午前10時から30分間の身体介護」を受け、次に「午前11時から30分間の生活援助」を受けた場合、間隔が1時間しかないため、合計1時間のサービスとして料金が計算される可能性があります。
このルールを知らないと、意図せず料金が高くなるケースも考えられます。
ケアプランを作成する際に、ケアマネージャーにサービスの時間帯についてもしっかり確認しておくと安心です。
【ケース別】こんなときはどっち?サービス選びのヒント
ご自身の家族の状況と照らし合わせながら、サービス選びの参考にしてみてください。
| こんな状況のとき | 主なサービス | 選び方のポイント |
|---|---|---|
| 退院直後で医療処置や経過観察が必要 | 訪問看護が中心 | 医師や病院と連携し、まずは医療的な安定を目指します。必要に応じて短時間の訪問介護を組み合わせることもあります。 |
| 経管栄養や痰の吸引など医療的ケアが日常的に必要 | 訪問看護が中心 | 24時間対応が可能なステーションを選ぶと、家族の安心感が高まります。 |
| 認知症があり、日中の見守りや家事の手伝いが必要 | 訪問介護が中心 | 本人の生活リズムに合わせて、生活援助や身体介護を組み合わせます。 |
| 病状は安定しているが、一人での入浴や食事が難しい | 訪問介護が中心 | ヘルパーによる身体介護で、安全な日常生活をサポートします。 |
| 医療ケアと身体介護の両方が必要な状態 | 訪問看護と訪問介護の併用 | ケアマネージャーと相談し、看護師とヘルパーの役割分担を明確にしたケアプランを作成します。 |
家族に合うサービス探しに迷ったら?専門家とツールを活用しよう
訪問看護と訪問介護の違いが分かっても、いざ事業者を探すとなると「どこに頼めばいいのか分からない」と新たな壁にぶつかるかもしれません。
一人で抱え込まず、公的な相談窓口や便利な情報ツールを積極的に活用しましょう。
まずは公的相談窓口へ|ケアマネージャーや地域包括支援センター
介護に関する最初の相談先として、最も信頼できるのが公的な窓口です。
- 要介護認定を受けている方:担当のケアマネージャーに相談しましょう。地域のサービス事業者に精通しており、利用者の状態や希望に合った事業所を紹介してくれます。
- まだ要介護認定を受けていない方:お住まいの地域にある地域包括支援センターに相談しましょう。介護に関する総合相談窓口であり、制度の説明から申請のサポートまで幅広く対応してくれます。
これらの専門家は、サービス事業者との間に入って調整してくれる心強い存在です。
【独自情報】最適な訪問看護ステーションを効率的に探すなら「みつかる訪看」
特に訪問看護ステーションを探す場合、夜間対応の可否や、特定の医療処置(吸引、ALS経験など)に対応できるかなど、専門的な条件で絞り込む必要があります。
しかし、膨大な事業所の中から条件に合うステーションを見つけ出すのは、ご家族はもちろん、ケアマネージャーにとっても大変な作業です。
そこでおすすめしたいのが、当社の運営する訪問看護ステーション検索プラットフォーム「みつかる訪看」です。
「みつかる訪看」なら、地域だけでなく、以下のような詳細な条件でステーションを検索できます。
- 理学療法士(PT)、作業療法士(OT)など専門職の在籍
- 24時間対応や緊急時対応の可否
- 小児や難病(ALSなど)の対応実績
実際に、大阪府の退院調整看護師の方からは、「褥瘡と胃瘻管理が必要な患者さんの受け入れ先を、対応疾患や訪問可能日を瞬時に比較しながら探せたことで、翌日の初回訪問までスムーズに段取りできた」とのお声をいただいています。
最適なサービスを効率的に見つけることで、ご家族の負担を減らし、大切な方の在宅療養をよりスムーズにスタートできます。
まとめ:違いを理解し、家族に最適な在宅ケアを実現しよう
今回は、訪問看護と訪問介護の違いについて、サービス内容から費用、賢い使い方まで詳しく解説しました。
最後に、この記事の重要なポイントを振り返りましょう。
- 訪問看護は、看護師などが訪問する医療サービス
- 訪問介護は、ホームヘルパーが訪問する生活支援サービス
- 両者は目的も担い手も異なるが、必要に応じて併用が可能
- 費用は利用する保険やサービス内容・時間によって決まる
- サービス選びに迷ったら、一人で悩まずケアマネージャーなどの専門家に相談することが大切
在宅での療養生活は、医療の支えと生活の支え、その両方が揃って初めて安心して送ることができます。
訪問看護と訪問介護は、まさに在宅ケアを支える車の両輪です。
それぞれの違いを正しく理解し、専門家と相談しながら賢く組み合わせることで、ご家族にとっても、そして何よりご本人にとっても最適な在宅ケアを実現できるはずです。
この記事が、あなたの不安を少しでも和らげ、前向きな一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。
訪問看護ステーションの助成金や補助金申請成功のためのポイントは何ですか?
成功させるには、制度の詳細を理解し、必要な情報を集め、具体的な事業計画を作成し、書類を準備して申請を進めることが重要です。
なぜ訪問看護ステーションの開業には助成金が必要なのですか?
助成金は、開業初期の資金負担を軽減し、事業の安定と継続を支援するために重要です。
訪問看護ステーションの開業に必要な資金の内訳と目安は何ですか?
初期費用は約270万円から800万円、運転資金は約430万円から980万円で、合計は約700万円から1780万円の資金計画が一般的です。
令和6年度に利用可能な訪問看護関連の助成金や補助金にはどんなものがありますか?
雇用促進や業務効率化、創業支援を目的とした助成金や補助金があり、例として雇用関連助成金、IT導入補助金、地域創業支援制度があります。
助成金や補助金を利用する際の注意点やリスクは何ですか?
『後払い』の原則により自己資金の前払いが必要な場合があり、不正受給には厳しい罰則があるため、制度のルールを守り透明性を持つ運用が求められます。